大聖寺伊万里金襴手中皿

<加全作の大聖寺伊万里>

ホタルイカ漁も終盤になってきました。形も大きなものが目立つようになりました。
お湯にくぐらせると形が丸みを帯びてきます。
ボイルした蛍烏賊の内臓には格別の旨味があります。

季節のうつわは「大聖寺伊万里金襴手中皿」で滝口加全の作品です。
昭和8年頃の作品です。

大聖寺伊万里焼とは明治4年の廃藩置県により、大聖寺藩の支援を受けられなくなった九谷焼の窯元が生き残り策として、当時人気が高く高額で取引されていた有田の染錦手伊万里を写しました。
古伊万里の傑作である有磯文様、赤玉文様、五艘船文様を描いた鉢や菊型皿、姫皿等その特徴をよく捉え、国内外で人気の陶器となりました。

滝口加全は、1872(明治5)年石川県で生まれ1890(明治23)年に京都で12代永楽善五郎(和全)に師事し、7年後に京都五条で独立します。
和全より全と加州の加にちなむ「加全」の号を授かりましたました。
作品は中国古陶磁、仁清、乾山、交趾の写しを得意とし、大聖寺で九谷焼の指導を行いやがて窯を築きます。
2代目加全もすぐれた作品を残しています。
北陸の旧家には、大聖寺伊万里の器が数多く受け継がれています。

耳菜草(ミミナグサ) ナデシコ科

<白色の5弁花>

耳菜草(ミミナグサ)は、宇奈月の山道の道端に普通に見られるナデシコ科の二年草です。

茎は、分岐して高さ20cm前後なので、見過ごしてしまいます。葉は卵形で対生します。5~6月に茎の先が分岐し、白色の5弁花を開きます。花弁は先で浅く2裂します。花柄は花の萼片より長く、萼片は暗紫色を帯びることが多いです。和名は葉の形がネズミの耳に似ているところからきています。

近縁のオランダミモナグサは、欧州原産の帰化植物で、各地でよく見られるようになりました。

射干(シャガ) アヤメ科

<林縁に群生するシャガ>

射干(シャガ)は、宇奈月のやや湿った樹林内や林道沿いの斜面に群生するアヤメ科の常緑多年草です。

地下茎からアヤメ科特有の長い匍匐枝(ホフクシ)を出して増えます。 葉は、光沢がある緑色の長い広剣状で扇形に生え、基部は茎を抱いています。 分枝した茎の上部に淡青紫の不揃いなアヤメに似た花をつけます。 花弁に濃い紫と黄色の模様が特徴です。

シャガは中国からもたらされた帰化植物で、三倍体のため種子ができません。 小型のヒメシャガは可憐で香りもよく観賞用として愛好されています。

二人静(フタリシズカ) センリョウ科

<落葉樹林内でひっそりと咲く>

二人静(フタリシズカ)は、宇奈月の落葉樹林内に自生するセンリョウ科の多年草です。

地下の根茎から多くの根を出し、茎は直立し茎頂から2本の花穂の先に米粒のような白い花をつけます。 稀に花穂が3本、4本の物があります。葉は、楕円形で微細な刺状鋸歯があります。

5月の初めに咲く一人静は、小形で花穂が1本で葉の色が濃く厚めで光沢があり、輪生なので容易に見分けがつきます。

奥車葎(オククルマムグラ) アカネ科

<6個の葉が輪生>

奥車葎(オククルマムグラ)は、宇奈月の林内の木陰に自生するアカネ科の多年草です。葎(ムグラ)とは、広い範囲にわたって生い茂る雑草のことで、その茂みも表しています。

茎は四角柱で分岐せずに直立し、高さは20~30cmほどになります。葉は、長楕円形で6枚が輪生して、3~4段つきます。先端は短く鋭く尖ります。よく似ている車葎(クルマムグラ)より幅広です。

5~6月に茎先に、2~3出状の集散花序を出し小さな花をつけます。花冠は白色の盃型で、先は4裂し花冠裂片は卵形となります。よく似ているの車葉草(クルマバソウ)の花の形は漏斗型です。



仁清色絵波絵切込皿

<五寸五分皿>

蛍烏賊も大ぶりの物が多くなってきました。釜茹で食すのもお勧めです。
最もお勧めなのがお造りです。ゲソは生姜醤油で竜宮素麺でいただきます。
山菜のヨシナの食感も爽やかで、今が旬です。雅膳の一皿です。

季節のうつわは、「仁清波絵切込皿」です。
四方に切込みが入り小形なので、蛍烏賊を盛りつけるのに適した器です。
5月5日から夏の始まりの二十四節気の「立夏」に入りました。
波絵の器は、初夏から夏に使います。

水木(ミズキ) ミズキ科

<葉は下向きで謙虚な姿勢>

水木は、宇奈月の山地に普通に見られるミズキ科の落葉高木です。幹は直立して大きく伸び、枝はテーブル状に水平に張り出します。

葉は長柄単葉で全縁です。全縁とは鋸歯状の切れ込みのない葉のことです。葉は枝先に集まって互生し、下面は白色を帯びて細毛があり、ほとんどの葉が下向きになります。

小枝の散房花序に花弁が4個の白色の小花が多く開きます。枝を切ると水がしたたり落ちることから名前の由来となっています。

草の黄(クサノオウ) ケシ科

<葉の下面は粉白色をおびて毛がある>

草の黄(クサノオウ)は、宇奈月の道端の草地に生えるケシ科の越年草で、草の王とも書きます。

茎は直立し高さは70cm前後で中空で分岐し、茎を切ると有毒な黄色い汁が出てきます。葉は互生で羽状に分裂し、下部は有柄で葉身は柔らかく、下面および茎は多少粉白色を帯びて毛があります。
葉腋から出た枝先に、4個の黄色い花弁を付けます。
果実は円柱状で直立します。

藪手毬(ヤブデマリ) スイカズラ科

<白色の装飾花が美しい>

藪手毬(ヤブデマリ)は、宇奈月の山の谷筋や湿った林縁に生えるスイカズラ科の落葉低木です。

葉は、対生で卵状楕円形、先は短く尖っています。
基部は広い楔形で、縁には鈍い鋸歯があり、葉の側脈は10対前後で、葉の縁近くまでまっすぐ伸びています。

花期は5~6月で、小さな両性花が集まる花序の周りに白色の大きな5枚の花弁の広がった装飾花が縁取ります。
装飾花は無性花でそのうちの花序の内側にある1枚の花弁だけ極端に小さくなっています。和名は藪に咲く手毬のような花の意味です。

藪手毬によく似たガマズミ属のムシカリは、5枚の花弁がほぼ同じ大きさで葉の付け根に切れ込みがあり、葉の形が亀の甲羅に似ています。
これにより区別することができます。

色絵綾目絵楕円皿

<大胆な菖蒲絵>

黒部市の生地漁港には、大物の「のど黒」が水揚げされています。大きな網目の刺し網漁なので、脂ののった大物だけが獲れます。
のど黒の美味しさを追求した「のど黒膳」の一皿は、焼物です。その他、お造り、しゃぶしゃぶも味わえます。

お薦めの地酒は、千代鶴酒造の「恵田」です。重みのあるしっかりとした味わいなので、脂ののった「のど黒」に合います。
富山県が生み出した酒米「富の香」を使用しています。
不思議な香りをお楽しみください。

季節のうつわは、「色絵綾目絵楕円皿」です。
綾目の大胆な構図が料理を引き立てます。