白山風露(ハクサンフウロ) フウロウソウ科

<高山の朝露をたっぷり受ける>

白山風露(ハクサンフウロ)は、宇奈月の高山の草地に自生するフウロウソウ科の多年草で、日本固有種です。

茎は、直立し高さ50cm前後になり、よく分岐をして、長い葉柄を持った葉を対生してつけます。葉は5~7深裂した掌状葉で、裂片はさらに大きく切れ込みます。葉の表面にはかすかな毛が付き、裏面では葉脈上に毛が付きます。

頂部の葉腋から果柄をのばし、先で枝分かれして2花がつきます。花弁は5個で白色から紅色まであり、花弁内側の基部には白毛がつきます。花弁の先には切れ込みがありません。

野原薊(ノハラアザミ) キク科

<茎に棘がないノハラアザミ>

野原薊(ノハラアザミ)は、宇奈月の草地に普通に生えるキク科の多年草です。

茎には棘が無く、高さが大きいもので1mぐらいです。根出葉は大きくて、8~12対に深裂して、先端は鋭い刺針となり、中肋が紅色を帯びます。

茎頂に頭花がやや上向きに開きますが、時にほとんど無柄の2~3個のつぼみが固まってつきます。頭花は紫紅色で美しく総苞は鐘球状です。

この他に薊は、立薊、鬼薊、都薊などがあります。

深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ) キンポウゲ科

<高山帯の草原を彩るミヤマキンポウゲ>

 深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)は、宇奈月の高山の草原やガレ場に咲く、キンポウゲ科の多年草です。

雪渓の雪が溶けると、深山金鳳花が群落を作ります。 葉は、大きく3つに裂け、裂片はさらに細かく裂け、キンポウゲ科の植物の特徴が出ています。 花は黄色で丸みを帯びた5弁花で7月から8月に開花します。

豪雪の年は、秋口まで花を見ることができます。 よく似た花で、深山金梅(ミヤマキンバイ)、信濃金梅(シナノキンバイ)がありますが、花の形や葉の形が異なりますので、見分けることができます 。

山辛子(ヤマガラシ) アブラナ科

<岩場に黄金色に輝く>

山辛子(ヤマガラシ)は、宇奈月の深山の湿性のガレ場に自生するアブラナ科の多年草です。

茎は直立し、高さ20~50cm位で、上部で分岐します。根葉や茎基部の葉は、頭大羽状に深裂互生し、上部の葉は広楕円形で基部が広くなって耳型になり茎を抱きます。上葉の縁には波状鋸歯があります。

茎頂に総状花序をだし、黄色の十字状の花を美しく咲かせます。

沢鵯(サワヒヨドリ) キク科

<湿地に生える沢鵯>

沢鵯(サワヒヨドリ)は、宇奈月の日当たりのよい湿地に生える、キク科の多年草です。

茎は直立して分岐せず高さは50cm前後で、鵯花よりやや小型で、上部に縮れ毛が多く、あまり分岐しません。葉対生して鋸歯があり普通披針形で無柄です。茎の先端に散房状に多数の小花を付けます。1頭花あたり5小花があり、花冠は5裂して白色で淡紅紫色を帯びます。

深山髪剃菜(ミヤマコウゾリナ) キク科

<黄金色が映える深山髪剃菜>

深山髪剃菜(ミヤマコウゾリナ)は、宇奈月の亜高山帯の礫地に生えるキク科の多年草です。僧ヶ岳登山道沿いの日当たりのいい斜面で見かけることもあります。

根出葉はロゼットをつくって地表に広がります。開花時期は8月から10月で、分岐した枝の先に黄色の舌状花ばかりからなる頭花をつけます。

和名は、全体に粗毛に覆われて触るとざらつき、この硬い毛を髪剃りにたとえ、高山で見られることに由来します。

岩弟切(イワオトギリ) オトギリソウ科

<弟切草の鉱山型>

岩弟切(イワオトギリ)は、宇奈月の高山の草地や礫地に生える、オトギリソウ科の多年草です。弟切草の高山型で日本固有種です。

葉は、長さ4cmの楕円形で対生し、一段毎に向きが違います。茎頂に1~3個の黄色の5弁花をつけます。花茎は2cm位でオトギリソウ科の特徴でもある、長いおしべが目立ちます。

和名は、岩場に咲く弟切草であることに由来します。

大花独活(オオハナウド) セリ科

<大型の花は存在感があります>

大花独活(オオハナウド)は、宇奈月の山地の湿った斜面に咲くセリ科の多年草です。

開花時期がハナウドよりも遅く、高地に咲きます。 下界では猛暑が続く8月、冷たい雪解け水が流れている涼しい沢沿いでよく見かけます。 白い花は、5弁花で外側の花弁だけが細長くて大きいので、蝶が羽を広げているかのようです。 オオハナウドは山菜として人気の高い独活(ウド)の仲間です。

この他にもハナウド、シシウド、ホソバシシウドやヤマゼリなど多くのセリ科の植物が分布します。

信濃撫子(シナノナデシコ) ナデシコ科

<夏の高山を彩る信濃撫子>

信濃撫子(シナノナデシコ)は、宇奈月の高山の礫地に生育するナデシコ科の多年草です。

葉は線状倒披針形で先端は尖るかまたは鈍頭です。基部は細くなって葉柄につらなりますが葉柄は短く、各節に対生して付きます。頂部で茎が分岐して、各分枝に集散花序が付き、紫紅色の小花が開花します。

和名は、北アルプスの長野県側に多く見られることに由来します。

深山大文字草(ミヤマダイモンジソウ) ユキノシタ科

<大文字草より小形で花も少ない>

深山大文字草(ミヤマダイモンジソウ)は、宇奈月の亜高山の湿った草地や岩場に生えるユキノシタ科の多年草で、大文字草の高山型変種です。

花径は、大文字草より小さく、葉はすべて根生し長い柄があります。葉は腎円形で長さは10cm前後で縁は掌状に中裂します。茎は分岐せずに集散花序に白色の花をつけます。花弁は上側の3弁は長く下側の2弁が長くなります。

和名の由来は、花が「大」の字に似ることからきています。