犬香薷(イヌコウジュ) シソ科

<山道の縁にひっそり咲く犬香薷>

犬香薷(イヌコウジュ)は、宇奈月の山野の日当たりのよい草地に生えるシソ科の一年草です。

茎は、シソ科の特有の方形で、直立して分岐し細毛があります。葉は、長楕円形で縁には鋸歯があります。茎頂に花穂を出し、淡紫色で小形の唇形花をたくさん総状につけます。

秋の野山には、人目に付かない小さな花が多く見られます。

薙刀香薷(ナギナタコウジュ) シソ科

<香りの強い薙刀香薷>

薙刀香薷(ナギナタコウジュ)は、宇奈月の山地の林縁や道端の草地に生える、シソ科の一年草です。

茎はシソ科特有の方形で直立し、分岐が旺盛でまばらに軟毛があります。 秋風が吹くと茎や枝の先に偏側性の薄紫の花穂をつけます。 花穂は薙刀状に少し曲がっています。

 和名はこの形に由来します。 花穂に触れるとに香気があり、全草を乾燥させて煎じると利尿、解熱に効き目があるといわれています。

白鬚草(シラヒゲソウ) ユキノシタ科

<レースで作られたような花を咲かせる白髭草>

白髭草(シラヒゲソウ)は、宇奈月の山地の湿った陰地に自生するユキノシタ科の多年草です。今年も限られた場所にひっそりと咲いています。かつては林縁でよく見かけましたが、最近は絶滅に近い状況です。

葉は、やや丸いハート型で茎を抱くようについています。茎は分岐することなく直立で、茎頂に白い花を1個つけます。和名は、白い5個の花弁の縁が、糸状に細裂している形状を白髭に見立て、白髭草と名付けられました。

可憐でレースのように織り込まれた複雑な白い花。その自然の造形美に魅了されます。

天人草(テンニンソウ) シソ科

<大形なので目立ちます>

天人草(テンニンソウ)は、宇奈月の山中の木陰に群生する、シソ科の大形の多年草です。

茎は直立して50cmから100cmぐらいになり、葉は長楕円形で対生し、鋸歯縁で両端は尖っています。花は、淡黄色で茎頂に細長い花穂をつくって、密につきます。4本のおしべと1本のめしべは、花柱とともに長く花外に付き出でています。

山萩(ヤマハギ) マメ科

<秋の深まりを感じさせる山萩>

山萩(ヤマハギ)は、宇奈月の山野に自生する、マメ科の落葉低木です。

高さは2m前後で、枝は細く多数分岐しますが、全体に繊細な感じがします。葉は楕円形でやや薄く、3小葉からなる複葉で、裏面には伏毛があります。9月、まばらに葉より長い総状花序に、明るい紅紫色の細長い蝶形花をつけます。

古名で鹿鳴草と書き、万葉集で最も詠まれた花でもあります。中秋の名月に萩、薄を月見団子と共に供える風習が残っています。

水引(ミズヒキ) タデ科

<林内に咲く水引>

水引(ミズヒキ)は、宇奈月の林道の縁に生えるタデ科の多年草です。

茎は直立して高さ50~80cmあり、まばらに分岐します。葉は互生し広楕円形です。茎の先から花穂を伸ばして花径4mmほどの小花を総状につけます。花柄に節があり花は横むきに咲き、花被片は4か所深裂し、上の3個は赤で下の1個は白くなっています。

和名は、開花の時の色彩が紅白であることに由来しています。

雄山火口(オヤマボクチ) キク科

<大型の花でアザミに似る>

雄山火口(オヤマボクチ)は、宇奈月の山の日当たりのいい斜面に、直立して生えるキク科の多年草です。

花が暗紫色になると茎は紫色になります。茎は直立し、高さ1~1.5mになり、上部で分岐します。根葉は楕円状卵型で、裏側には白い綿毛が密生しています。

この綿毛を火打石の火花を移す火口(ほくち)に使った所から和名の由来となっています。葉が牛蒡の葉と似ているので、ヤマゴボウとも呼ばれ、根は漬物として、若葉は草餅に使われます。信州では蕎麦のつなぎとしても使われるそうです。

9~10月、茎頂に暗紫色の頭花を、横向きまたは下向きに開きます。すぐ近くに大型の立薊も花を開かせ、秋の深まりを感じさせます。

巴塩竃(トモエシオガマ) ゴマノハグサ科

<スクリュー型の花を咲かせる>

巴塩竃(トモエシオガマ)は、宇奈月の亜高山帯の沢沿いや草地に生える、ゴマノハグサ科の多年草です。塩竃菊の変種となります。

茎は30~50cmで、茎先にスクリュー型の花を咲かせます。花は紅紫色で、横に巴型に咲きます。葉は長く縁に鋸歯があります。

原種の塩竃菊は茎の途中から花が出ますが、巴塩竃は茎頂にしか花が出ません。高山に見られる四つ葉塩竃も同じ種類です。

大文字草(ダイモンジソウ) ユキノシタ科

<大文字の形の花を咲かせる>

大文字草(ダイモンジソウ)は、宇奈月の山地の湿った所に生息するユキノシタ科の多年草です。

葉は根生して、葉柄を持ち掌状の葉身が付きます。 20cm以上に伸びる花径を出し、先に集散花序を付けます。萼は小さく5個の白い花弁の内、上部の3枚は短く下部の2枚が長くなっています。

和名は、花弁が漢字の「大」の字に似ていることに由来しています。 早咲きのものは、7月頃から見ることができます。

麝香草(ジャコウソウ) シソ科

<長い唇形の花冠が特徴の麝香草>

麝香草(ジャコウソウ)は、宇奈月の山の谷間の木陰に生えるシソ科の多年草です。

茎は、シソ科特有の方形で高さ60~100cmぐらいになり、ほとんど分岐することなく、多くは斜めに生えます。葉は対生し、短い葉柄があり、葉身は長楕円形で先が長く鋭く尖っています。縁は上部の部分で鋸歯があり、基部はやや細くなって鋸歯がなく耳状心形になっています。

花は、上部の葉腋にでる短い柄の先に3、4個ずつ付け一方向に向いて開きます。花冠は淡紅色で、筒部は長い唇形で上唇は短く、下唇が3裂し中央部の裂片は長くなっています。全草に芳香があることが和名の由来となっています。 伊吹麝香草も同じ仲間です。