駒草(コマクサ) ケシ科

<複雑な葉の構造で大気中の水滴を受ける>

駒草(コマクサ)は、宇奈月の高山帯の風衝岩屑斜面などの砂礫地に自生するケシ科の多年草です。他の植物が生育できないような環境なので、根を1mぐらいに伸ばし単独の大群落を作ります。清水岳(2603m)の山頂付近のガレ場で見ることができます。

風衝地とは山頂や尾根で強風が吹きつける地帯のことで、絶えず強風にさらされているため土はなくて、小石や岩が多い地帯です。冬期は雪が風に飛ばされ地表は凍結し、極寒の大地になります。この過酷な自然条件に耐えて生育するのが、コマクサ等の一部の高山植物です。

葉は根生葉で細かく複雑に裂けて白い粉を帯び、パセリのように見えます。終裂片は幅1mmほどの線形となります。この複雑な葉の構造が、濃霧を伴った強風が過ぎ去った後に多くの水滴を付着することができます。花茎は10~15cmで淡紅色の花をつけます。花弁は4個で外側と内側に2個づつつきます。外側の花弁は下部が大きく膨らんで、先が反り返ります。

和名は、花の形が馬の顔に似ていることに由来します。自然条件の厳しい環境のもとで育つ可憐な花なので「高山植物の女王」とも呼ばれています。