草木萌動(そうもくめばえいずる)

<ホタルイカの釜揚げ>

2月28日から七十二侯は「草木萌動(そうもくめばえいずる)」で、二十四節気の「雨水」の末侯となります。柔らかな春の陽射しを受け、潤った土や木々から萌葱色の新芽が芽吹く頃という意味です。

富山湾では3月1日からホタルイカ漁の解禁となります。ホタルイカは、昼は深い海底に潜み、深夜から明け方にかけて浅いところへと移動して産卵します。その習性をとらえて行われるのが、富山湾の春の風物詩「ホタルイカ漁」です。ホタルイカが放つ独特の青白い光は幻想的で、まさに富山湾の神秘といわれる所以です。ほのかな甘みのお造りは、絶品で地酒とよく合います。熱々のホタルイカの釜揚は、オレンジ色の内臓もたっぷりと味わえて、これがまた地酒によくあいます。

一方、黒部川では3月1日から渓流釣りの解禁となります。黒部川の河原は雪に覆われていますが、釣り人が山女魚や岩魚を狙って早春の渓流に挑みます。

祥瑞一閑人向付

<祥瑞の鉢の写し>

3月に入ると細魚が獲れ始めます。季節のうつわは「祥瑞一閑人向付」です。
一閑人とは、蓋置、火入などで、小さな人形が一つ、内側をのぞくような姿でつけられている意匠のものをいいます。人形を閑人に見立てた説もありますが、井戸を看る意味の「井看人」とも書きます。

明時代(17世紀)の景徳鎮で焼かれた祥瑞の鉢に、見込み口返に一閑人が付いている向付があります。これはそれの写しです。