山鳥兜(ヤマトリカブト) キンポウゲ科

<雅楽の鳥兜に似ている>

山鳥兜(ヤマトリカブト)は、宇奈月の深山に生えるキンポウゲ科の代表的な多年草です。

地下に猛毒(アコニチン)を持った紡錘形の塊茎がある毒草で、茎の長さが1m以上になり、立ちあがって湾曲します。毒の強さは植物成分では最強で、天然の物ではフグに次ぐといわれています。全体に無毛で、葉は長い柄があり互生で切れ込みが深く、キンポウゲ科の特徴がでています。

茎の上方に円錐花序をつけ、鮮やかな青紫色は遠くからでも目立ちます。青紫の5個の萼のうち兜状の萼は肉質で、真ん中の2個は円形で内側に毛があり、下部の2個は小さくなります。和名は、花の形が舞楽で頭にかぶる鳥兜に似ている事に由来します。

花が終わると果実が、鳥の足のような形になります。鳥兜から取った毒薬をブス、ブシ、ウズとよび、河内地方に生える鳥兜をカワチブシ、京都北山に生える鳥兜を、キタヤマブシと呼んでいます。この毒を服用すると苦しみのあまり顔が歪むところから、ブスという言葉が使われたようです。