雷乃発生(かみなりすなわちこえをはっす)

<雪解けの原野に咲く菊咲一華>

3月30日から七十二侯は「雷乃発生(かみなりすなわちこえをはっす)」で、二十四節気「春分」の末侯にあたる。不安定な春の空に雷が鳴り始める頃と言う意味。春の雷は、恵みの雨を呼ぶ兆しとして人々が待ち望んだ。

宇奈月温泉街は、コロナウイルスの影響で静寂さそのもの。朝の露天風呂から、薄っすらと雪化粧をした稜線を望むことができる。落葉樹は銀色に輝き思わぬ造形美を作り出してくれる。日中の陽光ですぐ融けてしまう儚き情景であるが、朝風呂に浸かりながらの山々の対峙は、至福のひと時である。

宇奈月温泉街を滝のように流れるのは宇奈月谷である。この谷の流れを作る雪融け水は、これから日一日と勢いを増してくる。雪が消えた谷沿いの落葉樹の中に分け入ると、可憐な水色の花が咲き誇る。キクザキイチゲ(菊咲一華)である。雪融けの大地に一番早く開花させる花でもある。