蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)

<相倉集落・田植えで忙しくなる頃>

5月20日から二十四節気は「小満」に入ります。小満とは陽気盛んにして万物の生長する気が天地に満ち始める頃で、立夏から数えて15日目となります。七十二侯は「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」で二十四節気「小満」の初侯になります。蚕が桑の葉を盛んに食べて成長する頃という意味です。

越中五箇山では古くから養蚕が盛んで、合掌造りの家屋の内部は養蚕の為の様々な工夫がなされています。茅葺の建物が田圃の水面に映り込む頃でもあります。日一日と夏めき、麦の収穫や田植えの準備で農家は忙しくなります。この時期に吹く少し強い南風を青嵐(あおあらし)と呼び、雨を翠雨、緑雨、青雨など天候を色で表わすくらいに森羅万象は色付いてきます。

この季節は異常乾燥に見舞われる頃でもあります。昭和21年5月21日、宇奈月温泉街の建設会社の作業所付近から出火し、折しもフェーン現象による強風で火が瞬く間に八方に飛ばされ、温泉街のほとんどを焼失するという大火災が起きました。そこから復興して今日の宇奈月温泉があります。それ以来5月21日は、「宇奈月温泉大火記念日」として消防訓練が行われ、宇奈月神社では火鎮祭が行われます。