鱖魚群(さけのうお むらがる)

<黒部川支流で産卵する桜鱒、婚姻色が美しい:10月下旬撮影>

12月17日から七十二侯は「鱖魚群(さけのうおむらがる)」で二十四節気「大雪」の末侯となります。鮭の群が、産卵のため自分の生まれた川に遡上する頃という意味です。宇奈月温泉を流れる黒部川の鮭の遡上は11月で終わります。

黒部川の河口から宇奈月温泉までの間に、サケが遡上するために越えなければならない堰堤があります。それは愛本堰堤です。愛本周辺は黒部川扇状地の扇頂部で、江戸時代に刎橋が懸けられたところです。黒部川下流域の最も岩が固く狭い地点です。現在の愛本堰堤は、昭和44年8月の豪雨で流失し、同48年に築造されました。ここには魚道が設けられていますが、黒部川は急流河川で流出土砂も多いため魚道が度々埋まり、鮭が宇奈月温泉周辺まで遡上できなくなります。

一方桜鱒は年々数が減少しているものの、宇奈月温泉周辺の黒部川支流で毎年確認できます。桜鱒は、富山名産の鱒ずしに使用される鱒で、春に遡上します。春の黒部川は、雪解けで水で増水し急流となって堰堤を乗り越えて流れるので、遡上が可能になります。そして夏の期間は深い淵に潜み、山の稜線が色づく10月中旬から11月初旬にかけて、黒部川支流で産卵間近の特徴である婚姻色が美しいサクラマスを見ることができます。

この時期の支流は、透明度が増し水量が少くなるので産卵の様子が、橋の上から容易に観察できます。産卵が始まるとカワガラスがやってきて、卵を啄ばみます。孵化した稚魚はヤマメで、降海型と河川残留型の2種類に分けられます。降海型のヤマメは日本海に出て3年後には桜鱒となって生まれた川に戻ってきます。黒部川では稚魚を守るため2月末まで禁漁となります。