青楽舩形向付

<香箱蟹>

富山の冬の料理に欠かせないのが香箱蟹です。香箱蟹は万頭蟹とも言って、小さいながら内子、外子には格別な旨みがあります。活蟹会席の一品です。

時を重ねた古い器は、料理を引き立てる不思議な力があり、青楽の色合いには特にうまく収まります。目で楽しめるのは器の妙技です。酒器は古九谷が欲しくなります。

季節のうつわは「青楽舩形向付」で楽弘入の作です。弘入は、1871年(明治4)に12代目吉左エ門を襲名して、1919年(大正8)に石山寺の近くに隠居します。この年は、黒部川の電源開発に取り組む高峰譲吉の東洋アルミナムと山岡順太郎の日本電力が設立された年です。