江戸切子八角籠目紋蓋向

<カットが美しい八角籠目紋>

黒部川河口近くに生地漁港があります。ここにでは大物ののど黒が多く集まります。脂の乘ったのど黒のしゃぶしゃぶは通年で食すことができます。お造りもお勧めです。脂が多いので、炙りにすると、より美味しくいただけます。合わせる地酒は、勝駒純米酒です。

季節のうつわは「江戸切子八角籠目紋蓋向」です。八角籠目紋は竹籠の八角網目を連続させた図案です。魔除けとして使われた文様です。江戸切子には下町の職人の技が詰まっています。

岩梅(イワウメ) イワウメ科

<葉は密で礫地を覆う>

岩梅(イワウメ)は、宇奈月の高山帯の岩地や礫地に自生する、イワウメ科の常緑小低木です。

枝は、風雪に耐えながら横に這い、厚い革質の葉が密生しているので木本には見えません。葉は倒卵状の楔形で丸まって、高山の岩場にカーペット状に広がって群落を作ります。花は、乳黄白色で枝先に長さ2cmほどの花柄を出し、その先に梅と似た花を上向きにつけます。花冠が5中裂するため花弁が5枚のように見えます。

群落とは、幾つかの異なった植物が同一環境に生育していることで、群生は同一種の植物が同じ場所に群がって生えていることです。高山帯では両方が見れます。

岩弁慶(イワベンケイ)ベンケイソウ科

<岩場を彩る岩弁慶>

岩弁慶(イワベンケイ)は、宇奈月の高山帯の風当たりの強い岩場や岩礫地に生育するベンケイソウ科の多年草です。白馬岳から旭岳、清水岳に至る登山道沿いの岩場で見ることができます。

高さは4cm前後で、葉は多様な形の多肉質です。雌雄異株で黄色の花は雄株で赤色の花は雌株です。和名は、厳しい環境下でも強く生育することに由来します。

深山東菊(ミヤマアズマギク) キク科

<アズマギクの高山型>

深山東菊(ミヤマアズマギク)は、宇奈月の高山の乾いた礫地や礫の多い草地に生えるキク科の多年草です。

全体に軟毛があり、根茎に1~4cmの箆形の葉が多数つき、茎にも小葉が付きます。茎の先端に淡紅紫色の舌状花と黄色の筒状花からなる径3cmほどの頭花を1個つけます。稀に白色の白花深山東菊が見られます。

白馬山系は、地質学的に蛇紋岩が多いため、固有なものが多く生育し、白馬の生態系を作っています。とりわけ白馬山系の宇奈月側は、頂上から斜面がなだらかになっているので、蛇紋岩植物が生育する高山植物の宝庫となっています。白馬岳(宇奈月側)、旭岳(宇奈月町)、清水岳(宇奈月町)は、天空のお花畑コースになります。

色絵波絵蓋向

<初夏の器>

延楽雅膳の一皿は、鮑と夏野菜の含め煮です。日一日と暑さが増し夏野菜が旨くなります。夏野菜に出汁を絡ませると更に旨くなります。柔らかな煮鮑は、よく合います。

季節のうつわは「色絵波絵蓋向」です。夏にふさわしい器で、波をモチーフにした図案を加飾したものの一つです。蓋物の他に小鉢、皿、向付、など波の絵付けがされているものが多くあり、作家や産地によって表現が違います。

江戸時代から波、千鳥、流水など琳派で使用された図案が使われ、その他に身近な植物、昆虫に至るまであらゆるものをデザイン化して器に取り入れています。現在ではその写しを見ることができます。料理と器の妙は、奥深い味わいです。

深山金梅(ミヤマキンバイ) バラ科

<岩場を黄金色に彩る>

深山金梅(ミヤマキンバイ)は、宇奈月の高山の岩場に自生するバラ科の多年草です。

茎は赤みがかり高さ10cmから20cmの小形で、根出葉は太い根茎上に数個つき、卵型で鋸歯のある3枚の小葉からなります。花は黄色の5片花で花びらの内側はオレンジ色です。

花は、信濃金梅(シナノキンバイ)とよく似ています。シナノキンバイはキンポウゲ科でトリカブトのように葉の切れ込みが深く、細く分裂しています。

色絵山水十二角足付皿

<艶やかな色絵>

雅膳の一皿は、赤烏賊と牡丹海老の昆布締めです。軽く昆布で締めてありますので締め具合が絶妙です。季節のうつわは「色絵山水十二角足付皿」で、初代宮永東山の作品です。造形と色合いが優麗な作品です。

宮永東山は、明治元年加賀で生まれドイツ語、フランス語を学んだ後、東京美術学校で教鞭をとります。明治30年、農商務省に入省し2年後にパリ博に派遣され2年間滞欧し、各国の美術工芸を視察して帰朝します。明治42年に京都伏見の深草で陶窯します。大正8年に荒川豊蔵が加わります。黒部川電源開発を提唱した高峰譲吉が、アルミ精錬会社を立ち上げた年です。翌年から黒部川の電源開発が始まります。

豊蔵は、昭和2年に北大路魯山人が主宰する鎌倉星岡窯に移るまで、東山窯で本格的に陶業を修め、大正12年には工場長となります。宇奈月の台地に木管で黒薙から引湯された年です。宇奈月温泉誕生の年で99年前の事です。

蓮始開(はすはじめてひらく)

<蓮の花が開くと清浄な香りに包まれる>

7月12日から七十二侯は「蓮始開(はすはじめてひらく)」で、二十四節気「小暑」の次侯になります。 池の水面に蓮の花が開き始める頃という意味です。

泥を俗世に見立て、泥より出でて泥に染まらぬ優雅で貴賓高き蓮の花は、仏教の悟りの境地に例えられます。加えてその崇高な清らかな花に極楽浄土を見るのです。修行僧のかぶり物は、若い蓮の葉を形取ってあり、未熟者であることを表します。仏教徒にとっては聖なる花です。

蓮が咲く頃は、梅雨明け間近です。豪雨により濁流となっていた黒部川の流れは透明さを戻し、その流量も落ち着いてきました。河鹿蛙の鳴き声は、川風に乗って心地よく聞こえる頃となりました。 峡谷探勝のシーズン到来です。

高嶺茨(タカネイバラ) バラ科

<ガスが晴れると淡紅色の花が現れる>

高嶺茨(タカネイバラ)は、宇奈月の高山帯に自生するバラ科の落葉低木です。北海道や日本海側の高山に分布する野生の薔薇です。

樹高は1~2mになり、枝はよく分枝し刺針があります。葉は10cm前後の奇数羽状複葉で、小葉は5~7個で質が薄く、小柄をもち、楕円形で上部ほど大きくなります。 7月、小枝の先端に1個の花をつけます。花冠は径は4~5cmで紅紫色の5弁花で多数の黄色い雄蕊があります。果実は洋梨形で赤色に熟しますす。

鎚目足付アルミ長皿

<夏の前菜>

夏の前菜は、夏野菜で飾ります。硝子の器の他にアルミの器を使う場合があります。硝子もアルミも涼やかに感じられます。季節の器は、「鎚目足付アルミ長皿」です。

槌目とは、板材の表面に金槌などで槌の跡を打ち付けて模様をつけます。打ち付ける槌の大きさや力の加減によって槌目は変わります。アルミ本来の輝きと鎚目に反射するきらびやかな美しさから、器にも使われるようになりました。