衝羽根空木(ツクバネウツギ)は、宇奈月の落葉樹林の中に見られるスイカズラ科の落葉低木でよく分岐します。
6月ごろ、新梢の先に黄白色で筒状鐘型の花を2個付けます。初夏を告げる花で内部には橙色の網目の模様があり、その純白さは清楚な雰囲気を漂わせています。
葉は、卵状楕円形で対生します。箆形で5個の額は、花が終わった後も果実の下に残って衝羽根の形になり、樹枝が空木に似ているところから和名がつけられました。
宇奈月の山野草
舞鶴草(マイヅルソウ) ユリ科
舞鶴草(マイヅルソウ)は、宇奈月の亜高山帯の涼しい樹林内に生えるユリ科の多年草です。今年も雪解けの樹林内に、群生しています。
葉は、心臓型で2から3個互生しています。花は茎の先端に総状花序に付きます。秋になると黄色い照葉の上に赤い実を付けます。
葉脈の独特な曲線を、鶴が羽を広げた形に見立てたところが和名の由来となっています。
梅花空木(バイカウツギ) ユキノシタ科
梅花空木(バイカウツギ)は宇奈月の岩石地に見られるユキノシタ科の落葉低木です。枝先に総状の集散花序をだし、白く芳香のある花をつけます。4枚の花弁は重なり合い先端部がわずかにくぼみ、梅花を思わせる清楚な花です。
枝は又状に横に広がり、葉は対生して卵型で3本の葉脈がはっきしているのが特徴です。茎には白い綿のような髄が詰まっていて、これを取り除かないと水揚が困難です。
紫式部(ムラサキシキブ) クマツヅラ科
紫式部(ムラサキシキブ)は、宇奈月の山野の林内や林縁に生えるクマツヅラ科の落葉低木で、小枝は斜上しますが先は垂れやすくなります。
葉は単葉で、葉身は8cm前後の長楕円形で、先は尾状に尖り基部は狭い楔形になっています。縁には細かい鋸歯があり、両面はほとんど無毛です。
葉腋から集散花序を出して淡紅紫色の花をつけます。石果は降霜のころ、光沢のある濃紫色に熟し、落葉後も枝に残ります。
夏灯台(ナツトウダイ) トウダイグサ科
夏灯台(ナツトウダイ)は、宇奈月の杉林等の林中に生えるトウダイグサ科の多年草です。
茎は紅色を帯びて切ると白い汁が出ます。葉は先の丸い披針形で互生しまが、茎頂で5枚の菱状長楕円形の葉を頂生し、そこから5本の枝を出します。更に枝は二股に分岐し、2枚の広卵状三角形の苞葉を付けその間に小さな盃状の花序をつけます。苞葉(ほうよう)とは、花の下に位置し葉の変形したもので芽を保護する役割を果たします。
夏灯台は非常に複雑に入り組んでいるように見えますが、よく見るとそこには自然界の中で造られた規則正しい造形が見られます。 有毒植物ですが、根茎は薬用となります。
白根葵(シラネアオイ) シラネアオイ科
白根葵(シラネアオイ)は、宇奈月の深山の木陰に生えるキンポウゲ科の多年草で、日本固有種です。
花は、茎頂に1個つき、花弁はなく淡紫色の大きな額片が4個あります。その下に腎臓形の葉が2個、対生しています。さらにその下には葉柄の長い、掌状に中裂した葉が互生します。 和名は、花が立葵に似て、日光白根山に多く産することに由来します。
野茨(ノイバラ) バラ科
野茨(ノイバラ)は、宇奈月の日当たりのよい山野に自生する、バラ科の蔓性落葉低木です。
高さは2m位になり、よく分岐して繁みを作り、枝には鋭いとげがあります。葉はバラ科に特徴的な奇数羽状複葉で互生します。小葉は2~4対で7~9個つきます。
枝先の円錐花序に多数の白色の花をつけます。花弁は5個、平開し芳香があります。
麒麟草(キリンソウ) ベンケイソウ科
麒麟草(キリンソウ)は、宇奈月の山地の岩場などに自生するベンケイソウ科の多年草です。
葉は肉厚の倒卵形でまばらに鋸歯があり、基部はややクサビ形で葉柄は無く、互生しています。茎は円柱状で太く、茎頂に黄色の5弁花の小花の密な集散花序を出します。
花の後にできる実は袋果で、熟すと種が岩場に放出され、新たな芽を出します。
花苦菜(ハナニガナ) キク科
花苦菜(ハナニガナ)は、宇奈月の山地や草原などに普通に生えるキク科の多年草です。
茎は細く50cm内外で、根出葉は広披針形で縁辺に不整の鋸歯があります。茎葉の基部は、茎を抱き茎の上部が分岐集散状に多数の頭花が開きます。黄色の舌状小花は8~10個あります。
茎は細く50cm内外で、根出葉は広披針形で縁辺に不整の鋸歯があります。茎葉の基部は、茎を抱き茎の上部が分岐集散状に多数の頭花が開きます。黄色の舌状小花は8~10個あります。
二輪草(ニリンソウ) キンポウゲ科
二輪草(ニリンソウ)は、宇奈月の落葉樹林内で群落を作るキンポウゲ科の多年草です。早いところでは5月初旬から開花します。
根茎は太くて短く、葉の形状は心状円形で3小葉に分かれ、小葉は3裂して切り込みが複雑なキンポウゲ科の特徴がでています。総苞片は3個で茎の先につき、無柄で3裂します。
総苞片の中心から花柄を2本出して先端に白花を単生します。二輪咲かせるので和名の由来となっています。稀に緑色の覆輪の花を見ることがあります。