亀甲松竹梅蒔絵吸物椀

<亀甲仕上げ>

お椀全体に蒔絵を施してあると、周りが華やかになります。お椀も季節に合わせて使いたいものです。漆は年代を重ねると堅固になります。

雅膳の季節のうつわは「亀甲松竹梅蒔絵吸物椀」です。京塗りの吸い物椀です。

赤絵花鳥長方皿

<のどぐろ若狭焼>

匠膳の焼き物は、のど黒の若狭焼です。照り地を掛けてじっくり焼きます。 のど黒は、脂がのった美味しい魚で地元では魚神(ギョシン)ともいいます。 仕入れの関係で甘鯛に変更になる場合もあります。

季節のうつわは「赤絵花鳥長方皿」です。赤絵とは、釉薬をつけて本焼きした陶磁器に上絵具で文様や図案を描き、赤絵窯で焼き付ける加飾法及びその陶磁器のことです。赤絵染付の語から赤絵となりました。色絵、錦手、五彩とも呼びます。

日本における赤絵の始まりは、1647年頃、酒井田柿右衛門が中国人に学んで習得しました。そして赤を中心に豊かな色彩を表現できる技法が編み出されました。

日本の愛陶家は、中国陶磁を宋時代の宋赤絵、明時代の古赤絵、万歴赤絵、天啓赤絵、呉須赤絵、明末清初の南京赤絵と色々と呼び分けてきました。赤絵は何故か、朝鮮半島では試みられることがありませんでした。

1720年代、マイセン窯で白磁胎赤絵が焼かれるようになりました。モデルとなったのが日本から輸入されていた柿右衛門様式の色絵磁器です。

乾山写雪笹小判形向付

<雲子天婦羅>

富山湾に雪が降りだすと、真鱈が美味しくなります。特に真鱈の白子は新鮮なうちにポン酢でいただきます。白子は、雲を連想させるので雲子とやばれています。アツアツの天婦羅は格別です。地酒も進みます。

季節のうつわは「乾山写雪笹小判形向付」です。乾山の「銹絵雪笹向付」が本歌で、仁阿弥道八や魯山人にも受け継がれました。笹に舞い降りる雪を白化粧で見事に表しています。

高麗鶴形蓋物

<祝膳の器>

お正月や祝膳などに使う器に鶴、亀、松竹梅などを模ったりする器があります。蓋物にも多く見られます。

季節のうつわは「高麗鶴形蓋物」で、祝い膳に使います。
白磁の蓋物に鶴の造形がしてあり、純白で清楚な器です。

仁清色絵梅絵五寸皿

<白梅図>

香箱蟹は、資源保護のため1月10日で漁が終了となります。暖かい地方から梅の開花が届く頃となりました。

季節のうつわは「仁清色絵梅絵五寸皿」です。香箱蟹は華やかな色絵があいます。
色絵とは上絵付け陶磁の総称で、赤絵、錦手ともいい、中国では五彩とも言います。
今日のいう色絵の概念は、大正から昭和の間に用いられ始めたようです。

水泉動(しみずあたたかをふくむ)

<水鳥が飛来する黒部川>

1月10日から七十二侯は、「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」で、二十四節気「小寒」の次侯となります。冬至から甦った陽光によって、地面が少しづつ温められます。「水泉」とは、湧き出でる泉の意味で、地中で凍っていた泉水が、ゆるやかながら動きだす頃と言う意味です。

出典の中国の宣明暦では「鵲始巣」で、鵲(かささぎ)が巣を作り始める頃という意味です。宣明暦は、平安時代初期に中国から入ってきた暦で、唐の徐昴によって作られました。その後、江戸時代に大統歴、貞享歴と変わり、1754(宝暦4)年、渋川春海によって日本初の宝暦歴に改められました。併せて七十二候も日本の気候風土に合うように改定されました。

11日は、鏡開きで、所によっては15日の処もあります。鏡餅の割れが多いとその年は豊作になると言われています。小寒に入ると雪の降る日が続き、その合間に穏やかな日があります。眼下に流れる黒部川では水鳥が水の流れに乗って移動していくのが観察できます。本格的な寒さは、これからです。

色絵透雪笹小鉢

<蟹味噌と身抜き>

雪がしんしんと降り積もる宇奈月温泉。温泉につかりながらの雪見は、最高のおもてなしで風情があります。

1月5日から二十四節気の「小寒」に入りました。寒の内の富山湾の旬味は、ますます旨味が増してきます。その日の仕入れにより、蟹味噌、真鱈の白子、とらふぐの湯引き、車鯛の肝、寒カワハギの肝、鮟鱇の肝等々。酒のあてには最高の珍味で、雅膳の一皿です。あわせる地酒は、純米吟醸「勝駒」がお薦めです。

季節のうつは「色絵透雪笹小鉢」です。 笹に雪が積もる光景は様々に文様化され、うつわに取り入れられています。冬の美しい形の一つで、乾山写しにも見られます。

黄瀬戸片口中皿

<油揚げ肌の片口>>

富山湾を代表する冬の味覚の寒鰤は、小寒に入ると一段と旨味が増してきます。昨年11月20日に「寒鰤宣言」が出されてから、豊漁が続き漁業市場も活況を呈しています。昨年からひみ寒鰤の重さ基準は6kg以上から7kg以上に引き上げられました。大物は脂が乗り、特に腹身は上質な脂が乗り、お刺身に大根おろしを添えて食すると格別です。

季節のうつわは「黄瀬戸片口中皿」で、加藤作助の作品です。しっとりと潤いのある油揚げ肌の黄瀬戸の器にあいます。

乾山写笹鉢向付

<香箱蟹>

香箱蟹は、「活け蟹会席」「雅膳」の一皿です。追加料理としても人気があります。香箱蟹は、津合蟹の雌で型が小さいために、丁寧に身を抜き甲羅に盛り付けます。つぶつぶの茶色の卵は、外子で特別の食感が味わえます。旨みが凝縮された味噌と、オレンジ色の内子は濃厚な味わいで、地酒と最高の組み合わせとなります。

雪の峡谷を愛でながらの蟹三昧。富山湾では香箱蟹は1月10日まで、雄の津和井蟹は3月20日まで漁が行われます。これから本格的な蟹シーズンとなります。

季節の器は、「乾山写笹鉢向付」です。寒の内でも緑を残す笹の葉は、乾山の銹絵雪笹紋で知られています。雪の縁取りで雪笹として図案化された向付もあります。

色絵雪松筒形向付

<甘鯛の蕪蒸し>

峡谷の雪景色が美しい頃、雪をあしらった器を使います。雅膳の一皿は蕪蒸しです。冬野菜を代表する蕪の旨味を優しく引き出す料理です。添える白身魚は甘鯛です。すりおろした蕪を雪に見立て、だしの効いた葛餡をかけます。

新年のうつわは「色絵雪松筒形向付」です。雪も図案化すると素晴らしくなります。