5月15日から七十二侯は「竹笋生(たけのこしょうず)」で、二十四節気「立夏」の末侯になります。竹笋(たけのこ)が地表に顔を出す頃という意味です。
竹笋は、筍の異体字です。食材の筍の収穫期間は、孟宗竹が3月から4月で真竹は5月から6月にかけて。今の時期に収穫できる筍は、根曲竹(ねまがりだけ)で宇奈月の深山の広葉樹林や、沢地などに大きい集団を作って群生します。宇奈月では筍と言うよりは山菜の感覚でとらえています。正式には千島笹の筍で、北海道から山陰までの日本海側で雪深いところに分布し、雪の重みで根本が曲がっていることが和名の由来となっています。
毎年5月18日は、宇奈月平和の像(観音像)の観音祭で大原台にて法要が営まれます。こちらの周辺でも根曲竹の分布が見られます。今年は積雪が少ないため、アクセス道路の除雪も終わり予定通り式典が挙行されます。
平和観音像は、宇奈月町出身の彫刻家・佐々木大樹氏の作品「観音像」を基に、ご子息の日出雄さんと弟子により造られました。台座を含めると21mの高さがあり、宇奈月温泉街が一望できる大原台自然公園(標高566.8m)に建立されています。日本一高いところにあるブロンズ像で、高岡の鋳物技術が活かされています。
この像に入魂した名僧は、臨済宗の名刹国泰寺(高岡市西田)の管長・稲葉心田氏です。国泰寺は、黒部川の電源開発を提唱した科学者・高峰譲吉(高岡出身)の高峰家の菩提寺です。明治の廃仏毀釈で荒れ果てた国泰寺を復興させたのが山岡鉄舟です。若き日の西田幾多郎や鈴木大拙等が参禅した禅寺でもあります。お寺のある西田地区は、上質な筍(孟宗竹)の産地であり、手入れの行き届いた竹藪が連なっています。高峰譲吉と宇奈月温泉には不思議なご縁が感じられます。