雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)

<栃の森散策道(旧十二貫野用水路)入口>

9月23日から二十四節気は「秋分」を迎えます。「春分」と同様に昼と夜の長さが同じになり、この日を境に陽は弱く短くなります。季節は少しずつ冬へと向います。

七十二侯は「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」で、二十四節気「秋分」の初侯にあたります。黙黙と力強く湧く入道雲は消え、夕立時に鳴り響いた雷が収まる頃という意味です。これに対して七十二侯の「雷乃発声(かみなりすなわちこえはっす)」は、二十四節気「春分」の末侯で、今年は3月31日でした。

雷の多い年は、豊作だと言われるようにお米には雷が密接に関係しています。恵みの雨をもたらすのが雷雲で、その閃光を稲妻と表現するところが稲作文化の象徴かもしれません。 黒部川扇状地の肥沃な大地では、収穫が始まりました。

宇奈月温泉周辺には様々な散策コースがあります。 日差しが和らいでくると、栃の森散策道(旧十二貫野用路)のウォーキングが爽快です。遊歩道の入り口は、宇奈月温泉スキー場の直下にあり、杉の木立が迎えてくれます。最終地点の尾の沼までの2.8kmのコースで、所要時間は1時間20分。途中、眼下に宇奈月ダムとうなづき湖を眺め、樹齢300年の巨木で形成された「栃の森」を抜けると、対岸にはヨーロッパの古城を模した新柳河原発電所が見えてきます。さらに上流へとアキアカネが飛び交う遊歩道を進みます。滝と急流の響きが感じられるようになるとコースの終点間近です。

そこは連なる砂防堰堤から落ちる滝が、連続に重なる絶景の「尾の沼谷」です。谷沿いに設けられた露天風呂「とちの湯」は眺望絶佳で、奥黒部の山々が宇奈月湖の湖面に映り込みます。帰りは平坦なダム湖沿いの道を歩き温泉街へと戻ります。黒部の秋の風情が五感で感じられる、所要時間4時間のおすすめのコースです。