
二十四節気の「処暑」に入ると、宇奈月の山々では、秋の気配が漂うようになりました。長月の前菜は、富山の山海の珍味です。宇奈月の山野では、秋の野草が開花し始めました。
季節の器は、「輪島塗・盛器黒へぎ目 秋草絵杉蓋」です。秋の彩りが美しい盛器です。
二十四節気の「処暑」に入ると、宇奈月の山々では、秋の気配が漂うようになりました。長月の前菜は、富山の山海の珍味です。宇奈月の山野では、秋の野草が開花し始めました。
季節の器は、「輪島塗・盛器黒へぎ目 秋草絵杉蓋」です。秋の彩りが美しい盛器です。
信濃撫子(シナノナデシコ)は、宇奈月の高山の礫地に生育するナデシコ科の多年草です。
葉は線状倒披針形で先端は尖るかまたは鈍頭です。基部は細くなって葉柄につらなりますが葉柄は短く、各節に対生して付きます。頂部で茎が分岐して、各分枝に集散花序が付き、紫紅色の小花が開花します。
和名は、北アルプスの長野県側に多く見られることに由来します。
8月22日から二十四節気は「処暑」となります。処とは止まるという意味で、夏の暑さが収まるとされていますが、今年はしばらく猛暑が続きそうです。朝は、冷を含んだ川風が吹き間近の秋が感じられます。
七十二侯は「綿柎開(わたのはなしべひらく)」で二十四節気「処暑」の初侯となります。柎(はなしべ)とは、萼(がく)のことです。「綿柎開」は、綿の実を包んでいた萼が開き始め、中から綿毛が出てくる頃という意味です。
綿は、熱帯や亜熱帯に分布する繊維植物でアオイ科の多年草です。同じ科の木槿や芙蓉と同様夏の花です。寒さに弱いため日本で栽培されているのは、インド綿の変種で1年草です。茎の長さが1m前後になり、秋に結実した果実は卵形で褐色に熟すと割れて、中から種を包んだ白い綿花があらわれます。この綿毛を紡いで綿糸にします。
黒部の山々は、厚みのある夏雲から白い巻雲に変わろうとしています。行き合いの空は秋の訪れを感じさせます。そんな景色を望める露天風呂付きの客室があります。眺望絶佳で、眼下には岩を食む黒部川の激流を眺め、眼前には黒部の峰々を望むことができます。峡谷に轟く川の音を聞きながら湯船に浸かります。時折、爽やかな川風が頬に感じられ、至福の時が味わえます。
深山大文字草(ミヤマダイモンジソウ)は、宇奈月の亜高山の湿った草地や岩場に生えるユキノシタ科の多年草で、大文字草の高山型変種です。
花径は、大文字草より小さく、葉はすべて根生し長い柄があります。葉は腎円形で長さは10cm前後で縁は掌状に中裂します。茎は分岐せずに集散花序に白色の花をつけます。花弁は上側の3弁は長く下側の2弁が長くなります。
和名の由来は、花が「大」の字に似ることからきています。
岩菖蒲(イワショウブ)は、宇奈月の亜高山の湿地に自生するユリ科の多年草です。
根茎は短くて、剣形の葉は、茎の下部から直立して出て、先は尖っています。細い茎の総状花序に白色の花をつけます。花被片は6個あり、長楕円形です。蕾の時に、紅紫色になることがあります。
和名は、葉の形が菖蒲に似ていることに由来します。
草紫陽花(クサアジサイ)は、宇奈月のやや湿った林内や山道沿いに生えるユキシタ科の多年草です。
地下茎は木質化して硬く、茎はその先から毎年出て直立し、冬には地上部は枯れます。 葉は互生し、長楕円形で縁には鋸歯があります。
茎頂に集散状の花序をつけ白色または淡紅紫色の小さな両性花の集団をつけます。 花序の周りには花弁状のガク片が3個ある装飾花をつけます。
岩銀杏(イワイチョウ)は、宇奈月の亜高山の湿地帯に自生するミツガシワ科の多年草です。
根茎は太く横に這って群生します。葉は根出して、腎形で光沢があり肉厚で縁には細かな鋸歯があります。夏山シーズンになると花茎を伸ばし先端に10個程度の白色の花を咲かせます。花冠は漏斗形で深く5烈し縁がやや波立っています。
和名は、葉の形が銀杏に似ていることに由来します。
宇奈月温泉花火大会は、毎年8月18日に行われます。今年は宇奈月温泉開湯百周年を記念する花火の打ち上げとなります。打ち上げ箇所を昨年同様、3箇所から打ち上げて花火の数も昨年より増やしています。これまでと違ったスケールの花火をお楽しみください。
季節のうつわは「仁清色絵花火絵六寸皿」です。器でも楽しめる夏の風物詩です。
丁子菊(チョウジギク)は、宇奈月の深山の湿地に自生するキク科の多年草です。 地下茎を伸ばし、40cm前後の丈を持つ茎を叢生させます。
葉は、長楕円状披針形で先は次第に細くなり対生し、縁には浅くて鋭い鋸歯があります。茎頂の葉腋から花柄を伸ばし頭状花を散房状につけます。花柄には母子草のように白い毛が密生し、黄色の管状花をつけます。
黒部峡谷・下の廊下の沢沿いでもよく見られます。
8月17日から七十二侯は「蒙霧升降(ふかききりまとう)」で、二十四節気「立秋」の末侯となります。蒙霧とは立ちこめる深い霧のことで、朝晩の冷え込みで霧が発生しやすくなる頃という意味です。俳句では霧は秋の季語で、これから山や川、湖などに霧が発生しやすくなります。
毎年、8月18日は宇奈月温泉花火大会で、光の大輪が峡谷の夜空を華やかに彩ります。宇奈月温泉は四方を山に囲まれているため、花火の炸裂音が峡谷中に響き渡ります。今年は、宇奈月温泉開湯は百周年で、それに相応しい花火を打ち上げます。打ち上げ箇所も3箇所に増やし、コロナからの復興を願って盛大に打ち上げます。
花火大会の歴史は古く、第一回目は1929(昭和4)年でした。黒部川本流での最初の発電所の柳河原発電所(黒一)が完成した2年後の事です。今から93年前です。その年の雪融けを待って、6月から猫又と鐘釣間の専用軌道の工事が始まります。日本電力が宇奈月の台地に旅館や料理屋の誘致を始めてから5年後の事です。
昭和の大不況は、温泉街をも巻き込み廃業に追い込まれる旅館が何軒もでました。昭和4年10月24日、ウォール街の株価が暴落し、暗黒の木曜日が始まります。そしてアメリカの経済悪化が発端となり世界恐慌が始まります。そんな暗い時代を元気づけるために、有志によって宇奈月温泉花火大会が行われたのです。
どんな時代でも変わらぬものがあります。それは宇奈月の地形が生み出す癒される自然です。山野では秋茜が飛び交い、山萩、薄、田村草など秋を彩る山野草が咲き始めます。山から吹き下ろす風も秋の気配が感じられるようになります。四季の移り変わりを温泉に浸かりながら感じられる宇奈月は、多くの文人墨客たちを魅了してきました。