色絵紫陽花絵向附

<鮑を柔らかく炊きました>

宇奈月温泉周辺の山では、蝦夷紫陽花が咲き始めました。花に見えるところは装飾花で、虫をおびき寄せえます。色は青が主流で、所々に赤があります。鮑の柔煮です。

季節の器は、「色絵紫陽花絵向附」です。外は雨でも器で晴れやかになります。

夏灯台(ナツトウダイ) トウダイグサ科

<形状が最も面白い花>

夏灯台(ナツトウダイ)は、宇奈月の杉林等の林中に生えるトウダイグサ科の多年草です。 

茎は紅色を帯びて切ると白い汁が出ます。葉は先の丸い披針形で互生しまが、茎頂で5枚の菱状長楕円形の葉を頂生し、そこから5本の枝を出します。更に枝は二股に分岐し、2枚の広卵状三角形の苞葉を付けその間に小さな盃状の花序をつけます。苞葉(ほうよう)とは、花の下に位置し葉の変形したもので芽を保護する役割を果たします。

夏灯台は非常に複雑に入り組んでいるように見えますが、よく見るとそこには自然界の中で造られた規則正しい造形が見られます。 有毒植物ですが、根茎は薬用となります。

梅子黄(うめのみきばむ)

<白身魚と相性のいい煎り酒は、梅干しから作る>

6月16日から七十二侯は「梅子黄(うめのみきばむ)」で、二十四節気「芒種」の末侯となります。梅の実が熟して黄ばむ頃という意味です。梅が黄ばんでくると梅干を作るための収穫となり、いよいよ梅雨本番となります。

延楽ラインショップの人気商品に「煎り酒」があります。梅干しの塩梅と特製出汁を合わせてつくる、オリジナル商品です。富山湾で獲れる真鯛、平目、のど黒、細魚(サヨリ)、太刀魚などの白身魚の刺身に合います。おろし山葵を少々付けて食すと、白身魚の繊細な味わいが口に中に広がります。

醤油が登場する以前に刺身ダレとして使われていました。刺身以外にもドレッシングや鍋物等にも幅広く使えます。延楽秘伝の味で、地酒との相性も良く、山葵を溶いて口に含むとアテにもなります。

緑交趾笹形皿

<鮎で黒部川を味わう>

富山県内の主な河川の鮎の解禁が間近となりました。黒部川は雪解水で水温が低いため、鮎は宇奈月温泉までは遡上できません。従って黒部川扇状地の扇頂部の愛本より、下流で鮎釣りが行われます。今年は天然鮎の遡上が遅いので、まだまだ数が少ないようです。初物を炭火で時間をかけてじっくりと焼き上げます。

季節の器は、「緑交趾笹形皿」です。鮮やかな緑釉に蓼と鮎が美しく映えます。

白根葵(シラネアオイ) シラネアオイ科

<深山の谷間の雪が解けだすと現れるシラネアオイ>

白根葵(シラネアオイ)は、宇奈月の深山の木陰に生えるキンポウゲ科の多年草で、日本固有種です。

花は、茎頂に1個つき、花弁はなく淡紫色の大きな額片が4個あります。その下に腎臓形の葉が2個、対生しています。さらにその下には葉柄の長い、掌状に中裂した葉が互生します。 和名は、花が立葵に似て、日光白根山に多く産することに由来します。

野茨(ノイバラ) バラ科

<日本を代表する野生のバラ>

野茨(ノイバラ)は、宇奈月の日当たりのよい山野に自生する、バラ科の蔓性落葉低木です。

高さは2m位になり、よく分岐して繁みを作り、枝には鋭いとげがあります。葉はバラ科に特徴的な奇数羽状複葉で互生します。小葉は2~4対で7~9個つきます。

枝先の円錐花序に多数の白色の花をつけます。花弁は5個、平開し芳香があります。

青楽長角蓋物

<黒部の山の色合い>

夏野菜が美味しくなる頃となりました。雅膳の一皿は、甘鯛と夏野菜の含め煮です。冬瓜、茄子、人参、万願寺唐辛子など沢山の夏野菜が出ています。

季節の器は「青楽長角蓋物」です。青楽とは緑釉のかけられた楽焼の俗称で、赤楽、黒楽に対して呼ばれてきました。酸化銅で緑色に呈色させます。

麒麟草(キリンソウ) ベンケイソウ科

<岩場に咲く黄金色の麒麟草>

麒麟草(キリンソウ)は、宇奈月の山地の岩場などに自生するベンケイソウ科の多年草です。

葉は肉厚の倒卵形でまばらに鋸歯があり、基部はややクサビ形で葉柄は無く、互生しています。茎は円柱状で太く、茎頂に黄色の5弁花の小花の密な集散花序を出します。

花の後にできる実は袋果で、熟すと種が岩場に放出され、新たな芽を出します。

花苦菜(ハナニガナ) キク科 

<黄色の花弁が鮮やか>

花苦菜(ハナニガナ)は、宇奈月の山地や草原などに普通に生えるキク科の多年草です。

茎は細く50cm内外で、根出葉は広披針形で縁辺に不整の鋸歯があります。茎葉の基部は、茎を抱き茎の上部が分岐集散状に多数の頭花が開きます。黄色の舌状小花は8~10個あります。

茎は細く50cm内外で、根出葉は広披針形で縁辺に不整の鋸歯があります。茎葉の基部は、茎を抱き茎の上部が分岐集散状に多数の頭花が開きます。黄色の舌状小花は8~10個あります。

二輪草(ニリンソウ) キンポウゲ科

<花柄を2本だし白色の花を咲かせる>

二輪草(ニリンソウ)は、宇奈月の落葉樹林内で群落を作るキンポウゲ科の多年草です。早いところでは5月初旬から開花します。

根茎は太くて短く、葉の形状は心状円形で3小葉に分かれ、小葉は3裂して切り込みが複雑なキンポウゲ科の特徴がでています。総苞片は3個で茎の先につき、無柄で3裂します。

総苞片の中心から花柄を2本出して先端に白花を単生します。二輪咲かせるので和名の由来となっています。稀に緑色の覆輪の花を見ることがあります。