錦手獅子見込八角中皿

<古伊万里の中皿に、蛍烏賊と白海老の造り>

富山湾の春の風物詩は、蛍烏賊と白海老です。桜の花が咲く頃に旬を迎えます。今年の富山県内の開花は、例年より10日ほど早くなり、富山市内では終わりを迎え、宇奈月周辺はこれから満開となります。雅膳の一皿です。

季節のうつわは古伊万里の「錦手獅子見込八角中皿」です。錦手とは赤、緑、黄、紫、青などの上絵具を施した陶磁器のことです。五彩、色絵、赤絵などとほぼ同義で、古伊万里などに多く用いられる呼称です。

深山片喰(ミヤマカタバミ) カタバミ科 

<宇奈月の樹林内で静かに開く深山片喰>

深山片喰(ミヤマカタバミ)は、宇奈月の山地の林内や林縁に群生するカタバミ科の多年草です。

地下茎は太く古い葉柄基部に包まれています。茎は分枝せずに長い花柄の先に白い花を1個つけ、花弁は5枚で、古くから家紋として使われています。陽が当たらないと花は開きません。葉は、混生して長い葉柄があり3出掌状複葉で、小葉は広倒心形です。夜はしぼんでしまいます。

玄鳥至(つばめきたる)

<清浄明潔、黒部川扇状地から望む白馬連山>

4月4日から二十四節気は「清明」に入ります。清明とは「清浄明潔」の略で「万物発して清浄明潔なればこの芽は何れの草としれる也」と江戸時代に出版された暦の解説書「暦便覧」に記述されています。まさに万物がすがすがしく明るく輝くころとなります。

黒部川扇状地から上流を望むと雪を纏った後ろ立山連峰の峰々が神々しく輝いています。正面奥から白馬岳(2932m)、隣が旭岳(2867m)と清水岳(2603m)と名座が続きます。いよいよ北アルプスを背景に、桜とチューリップが加わる彩り豊かな季節となります。清明ならではの壮大な情景です。

七十二侯は「玄鳥至(つばめきたる)」で二十四節気「清明」の初侯となります。幻鳥とは燕の事で、燕がやって来る頃と言う意味です。冬鳥が北に帰り、入れ替わるように南の国から燕がやってきます。温泉街で観察できるのは小形の岩燕です。岩燕は、尾羽の切り込みが浅く英名が「House Martin」、燕は大型で尾羽の切込みが深く「Barn Swallow」でマーチンとスワロウです。日本には繁殖のために飛来し、宇奈月では温泉街から山地にかけて集団で営巣します。待ちに待った観光シーズンの到来となります。