緑彩八ツ橋向付

<春の彩と香り>

雅膳の一皿は、氷見牛の炙りです。柔らかくて旨味のある氷見牛は、宇奈月ビールと合います。宇奈月周辺の山野には山菜が芽吹いています。山菜の柔らかな新芽と、爽やかな苦みを併せてお楽しみください。

季節のうつわは、「緑彩八ツ橋向付」です。萌黄色の緑彩は、新緑の黒部の山々を表しています。黒部峡谷鉄道で新緑と残雪の山々の景色がご覧いただけます。

牡丹華(ぼたんはなさく)

<牡丹:日本画家・松尾敏男>

4月30日から七十二侯は「牡丹華(ぼたんはなさく)」で二十四節気「穀雨」の末侯となります。百花の王である牡丹が大輪の花を咲かせる頃という意味です。牡丹は、俳句では夏の季語で、春の終わりを惜しむように咲き、夏への橋渡しをしてくれます。宇奈月温泉は、牡丹の開花間近です。

延楽は日本画壇の先生達がよく逗留される宿でした。日本美術院の堅山南風先生も常連で、そのお弟子さん達の作品も多く残っています。とりわけ松尾敏男画伯の「牡丹」は気品があり展示すると周りが華やかになります。本日からロビーに展示されます。

宇奈月温泉では山から吹き下ろす朝風はまだ肌寒く、雪が残った山肌と麓の新緑が目に優しいコントラストを作り出しています。雪が消えた原野では片栗(カタクリ)や黄華鬘(キケマン)の群生が現れ、春の陽光を浴びて一斉に花開します。時折、鶯の鳴き声が心地よく響きます。5月2日は、立春から数えて88日目となります。「夏も近づく八十八夜」です、夏がすぐそこまでやってきています。