お正月や祝膳などに使う器に鶴、亀、松竹梅などを模ったりする器があります。中には蓋物も多くあります。雅膳の祝膳の一皿に「高麗鶴形蓋物」があります。白磁の蓋物に鶴の造形がしてあります。純白で清楚な器です。
仁清色絵梅絵五寸皿
香箱蟹は、資源保護のため1月10日で漁が終了となります。暖かい地方から梅の開花が届く頃、禁漁となります。
季節のうつわは「仁清色絵梅絵五寸皿」です。香箱蟹は華やかな色絵があいます。色絵とは上絵付け陶磁の総称で、赤絵、錦手ともいい、中国では五彩とも言います。今日のいう色絵の概念は、大正から昭和の間に用いられ始めたようです。
水泉動(しみずあたたかをふくむ)
1月10日から七十二侯は、「水泉動(しみずあたたかをふくむ)」で、二十四節気「小寒」の次侯となります。冬至から甦った陽光によって、地面が少しづつ温められます。「水泉」とは、湧き出でる泉の意味で、地中で凍っていた泉水が、ゆるやかながら動きだす頃と言う意味です。
出典の中国の宣明暦では「鵲始巣」で、鵲(かささぎ)が巣を作り始める頃という意味です。宣明暦は、平安時代初期に中国から入ってきた暦で、唐の徐昴によって作られました。その後、江戸時代に大統歴、貞享歴と変わり、1754(宝暦4)年、渋川春海によって日本初の宝暦歴に改められました。併せて七十二候も日本の気候風土に合うように改定されました。
11日は、鏡開きで、所によっては15日の処もあります。鏡餅の割れが多いとその年は豊作になると言われています。小寒に入ると雪の降る日が続き、その合間に穏やかな日があります。眼下に流れる黒部川では水鳥が水の流れに乗って移動していくのが観察できます。本格的な寒さは、これからです。
色絵透雪笹小鉢
雪がしんしんと降り積もる宇奈月温泉。温泉につかりながらの雪見は、最高のおもてなしです。
1月5日から二十四節気の「小寒」に入ります。寒の内の富山湾の旬味は、ますます旨味が増してきます。その日の仕入れにより、蟹味噌、真鱈の白子、とらふぐの湯引き、車鯛の肝、寒カワハギの肝、鮟鱇の肝等々。雅膳の一皿です。あわせる地酒は、純米吟醸「勝駒」がお薦めです。
季節のうつは「色絵透雪笹小鉢」です。 笹に雪が積もる姿は様々に文様化され、特に正月のうつわに取り入れられ冬の美しい形の一つとされています。乾山写しによく見られます。
黄瀬戸片口中皿
富山湾を代表する冬の味覚の寒鰤は、小寒に入ると定置網に入ってきます。昨年11月26日に「寒鰤宣言」が出されてから、豊漁が続き漁業市場も活況を呈しています。この時期は脂が乗り、特に腹身は上質な脂が乗り、大根おろしを添えて食すると格別です。
季節のうつわは「黄瀬戸片口中皿」で、加藤作助の作品です。しっとりと潤いのある油揚げ肌の黄瀬戸の器にあいます。
乾山写笹鉢向付
香箱蟹は、「活け蟹会席」「雅膳」の一皿です。追加料理としても人気があります。香箱蟹は、津合蟹の雌で型が小さいために、丁寧に身を抜き甲羅に盛り付けます。つぶつぶの茶色の卵は、外子で特別の食感が味わえます。旨みが凝縮された味噌と、オレンジ色の内子は濃厚な味わいで、地酒と最高の組み合わせとなります。
雪の峡谷を愛でながらの蟹三昧。富山湾では香箱蟹は1月10日まで、雄の津和井蟹は3月20日まで漁が行われます。これから本格的な蟹シーズンとなります。
季節の器は、「乾山写笹鉢向付」です。寒の内でも緑を残す笹の葉は、乾山の銹絵雪笹紋で知られています。雪の縁取りで雪笹として図案化された向付もあります。
芹乃榮(せりすなわちさかう)
1月6日から二十四節気は「小寒」に入ります。小寒から節分までの「寒の内」の始まりなので「寒の入り」といいます。節分の翌日は立春で「寒の明け」を迎えます。それまでは厳しい寒さが続き、「小寒の氷、大寒に溶く」と言う故事がある位に、寒さは一段と厳しくなります。
7日には松飾を外し、15日の小正月には鏡開きと新年の行事が続きます。酒造会社では、新酒の仕込みの時期を迎えます。
七十二侯は、「芹乃榮(せり、すなわちさかう)」で二十四節気「小寒」の初侯になります。厳しい寒さが続きますが田んぼや水辺では、芹が生え始める頃という意味です。芹は春の七草の一つで、正月7日に七草粥を食べると一年の邪気を祓うとされます。
玄関の正月飾りは、地酒の菰樽に鏡餅を飾りその上に伊勢海老を戴くという創業時からの形です。今年の菰樽は、林酒造の「黒部峡」を使いました。目印となる特大の門松も飾られます。
新春の延楽ギャラリーは、横山大観「旭日」、安田靫彦「春刻」、児玉希望「雪の橋立」が展示してあります。これからも受け継がれるお正月の室礼です。 昨年、新設されたアートサロン清渓で「永楽妙全のうつわ展」を開催しております。
色絵雪松筒形向付
峡谷の雪景色が美しい頃、雪をあしらった器を使います。雅膳の一皿は蕪蒸しです。冬野菜を代表する蕪の旨味を優しく引き出す料理です。添える白身魚は甘鯛です。すりおろした蕪を雪に見立て、だしの効いた葛餡をかけます。
新年のうつわは「色絵雪松筒形向付」です。雪も図案化すると素晴らしくなります。
色絵ツボツボ重扇面皿
冬の「のど黒」は、脂がのり旨くなります。お造りは、少し炙った焼霜づくりは格別です。塩焼きも脂の旨味が十分味わえます。吟醸酒粕を混ぜた味噌に漬けて焼くと、脂の旨味に深みが出ます。勝駒純米吟醸と合わせます。
季節のうつわは「色絵ツボツボ重扇面皿」です。扇形の器に映えます。
輪島塗・盛器黒へぎ目と雪松絵杉蓋
正月も明け、寒の入りを迎えて寒さは一段と厳しくなります。雪吊りの松に、雪が纏わり冬本番となりました。幕の内の匠膳の前菜は、富山の冬の旬味を盛りつけます。
季節のうつわは「輪島塗・盛器黒へぎ目と雪松絵杉蓋」です。