鎚目足付アルミ長皿

<夏の前菜>

夏の前菜は、夏野菜で飾ります。硝子の器の他にアルミの器を使うこともあります。アルミも硝子のように涼やかに感じられます。

季節のうつわは「鎚目足付アルミ長皿」です。

槌目とは、板材の表面に金槌などで槌の跡を打ち付けて模様をつけます。打ち付ける槌の大きさや力の加減によって槌目は変わります。アルミ本来の輝きと鎚目に反射するきらびやかな美しさから、器にも使われるようになりました。

雪割草(ユキワリソウ) サクラソウ科

<雪が消えると可憐な花を咲かす>

雪割草(ユキワリソウ)は、宇奈月の高山の岩場に生育するサクラソウ科の多年草です。

葉は楕円形で根生し、表面は緑色でしわが多く、ふちには波状のゆるい鋸歯があり、やや裏側に曲がります。花茎は高さ5~15cmになり、その先に3~20個の淡い紅紫色の花をつけます。苞は線形になり、基部は袋状に膨らみません。

白山小桜(ハクサンコザクラ) サクラソウ科

<清水岳の湿地帯を彩る白山小桜>

白山小桜(ハクサンコザクラ)は、宇奈月の高山帯に自生する超小形のサクラソウ科の多年草です。主に日本海側の高山帯に分布し、雪渓周辺や湿地帯などの湿った場所に群生します。

葉は、根葉のみで大小不揃いの尖った鋸歯があります。花は5弁花ですが、ハート型に深く切れ込んでいるので、10弁花のように見えます。桃色の花は桜に似て白山に多く見られることが、和名の由来となっています。花は、大桜草と似ていますが葉の形で見分けがつきます。白山小桜の葉はやや丸みを帯び不揃いな鋸歯があります。大桜草の葉は紅葉手となっています。

宇奈月の名座、旭岳、清水岳周辺の湿地帯で群生が見られます。

駒草(コマクサ) ケシ科

<複雑な葉の構造で大気中の水滴を受ける>

駒草(コマクサ)は、宇奈月の高山帯の風衝岩屑斜面などの砂礫地に自生するケシ科の多年草です。他の植物が生育できないような環境なので、根を1mぐらいに伸ばし単独の大群落を作ります。清水岳(2603m)の山頂付近のガレ場で見ることができます。

風衝地とは山頂や尾根で強風が吹きつける地帯のことで、絶えず強風にさらされているため土はなくて、小石や岩が多い地帯です。冬期は雪が風に飛ばされ地表は凍結し、極寒の大地になります。この過酷な自然条件に耐えて生育するのが、コマクサ等の一部の高山植物です。

葉は根生葉で細かく複雑に裂けて白い粉を帯び、パセリのように見えます。終裂片は幅1mmほどの線形となります。この複雑な葉の構造が、濃霧を伴った強風が過ぎ去った後に多くの水滴を付着することができます。花茎は10~15cmで淡紅色の花をつけます。花弁は4個で外側と内側に2個づつつきます。外側の花弁は下部が大きく膨らんで、先が反り返ります。

和名は、花の形が馬の顔に似ていることに由来します。自然条件の厳しい環境のもとで育つ可憐な花なので「高山植物の女王」とも呼ばれています。

延根千鳥(ノビネチドリ) ラン科

<可憐な花を穂状に咲かせる>

延根千鳥(ノビネチドリ)は、宇奈月の亜高山帯の樹林下の湿った所に自生するラン科の多年草です。

茎は太く円柱形で直立し、30~60cmになります。葉は互生し葉身は長楕円形で、先は尖り縁は波状に縮れ3~5筋の葉脈がはっきりと目立ちます。花期は7月で淡紅色の花を穂状に多数つけ、苞は花と同じ長さです。側花弁は萼片より短く、唇弁はそれよりもやや長く、楔状広卵形で先端が3裂します。

和名は、根茎が伸びることに由来します。

蕎麦菜(ソバナ) キキョウ科

<僧ケ岳・登山道に咲く蕎麦菜>

蕎麦菜(ソバナ)は、宇奈月の山路の則面に、小さな釣鐘の形をした赤紫色の花をつけるキキョウ科の多年草です。 僧ヶ岳登山道でよく見かけます。

葉は、広被針形で互生し、若葉は山菜として食用になります。 茎の切り口から白い粘りのある汁が出て、これが蕎麦をゆでる時の臭いと似ていることが、名前の由来となっています。

花は、茎頂の疎らな円錐花序に下向きにつけます。花冠は青紫色の漏斗状鐘型で先が5裂し、その先がやや反り返ります。標高が高くなるにつれ、形も大きくなり色も濃くなります。宇奈月の初夏の山野を彩る花です。

昼顔(ヒルガオ) ヒルガオ科

<草叢に咲く昼顔>

昼顔(ヒルガオ)は、宇奈月の山路沿いの草叢に生える、ヒルガオ科の多年草です。蔓性なので他の草や低木に絡みついて伸び、漏斗状の淡紅色花を咲かせます。

その貴賓ある整った形と色合いからフランスでは「日中の美女」と称され、ジョゼフ・ケッセルの小説の題材にもなり映画化されました。あのカトリーヌ・ドノーブ主演の「昼顔」です。

名前の通り、夏の強い日差しの中でも日中に花開します。宇奈月温泉スノーパークでは、ススキやヨモギに絡みついて伸びています。

山荷葉(サンカヨウ) メギ科

<爽やかな香りがする山荷葉>

山荷葉(サンカヨウ)は、宇奈月の深山の雪解けの沢の斜面に白根葵(シラネアオイ)などと一緒に自生するメギ科の多年草です。

2枚の大きな葉が特徴で、茎の中ほどにから上につき、広腎臓形で2深裂し下面に毛があります。花は散房花序に6弁の白い花を数個つけ、水に濡れると半透明になります。開花するとすがすがしい香りがして、秋には濃い青紫色の実をつけます。

津合蟹(焼蟹)

板前が焼く

雪を纏った立山連峰が、富山湾越しにくっきりと見える頃、津合蟹漁が間近となります。富山湾の冬の味覚は、何といっても津合蟹と寒鰤です。とりわけ津合蟹は、蟹味噌が濃厚で加えて身の甘みと旨味が特徴です。お造り、蒸蟹、蟹ちり、焼蟹等、多彩な料理が楽しめます。富山県より西の地域では11月6日が解禁となり、3月20日まで漁がおこなわれます。         

蟹料理のなかでも焼蟹は、蟹の旨みを最大限引き出せる一品です。蟹足の表面を炭火で炙り、中は熱々でジューシーな状態が最高の食べ頃です。この火加減がなかなかと難しいので、焼職人が炙ります。

地酒との相性が良く、錦秋の露天風呂と合わせてお楽しみください。

禾乃登(こくのものすなわちみのる)

<おわら風の盆:坂の町を照らす西町のぼんぼり>

9月2日から七十二侯は「禾乃登(こくのものすなわちみのる)」で、二十四節気「処暑」の末侯にあたる。禾の文字は、植物の穂の形からできており豊かな実りを象徴する。稲穂が膨らんで黄金色になる頃という意味。

立春から数えて210日目にあたるこの時期は、「二百十日」と呼ばれ台風に見舞われやすい。そのため越中八尾では風害から農作物を守るため風邪鎮めの祭りが行われるようになった。それが「おわら風の盆」である。9月1日から9月3日まで各町内で洗練された踊りが披露される。普段は静かな山間の坂の町に、20万人のお客様が押しかける。哀愁を帯びた胡弓が奏でるおわらの調べが、訪れる人々を魅了する。今年は、残念ながらコロナ禍で全面中止となった。

新作おわらの代表作は、何といっても小杉放庵が詠んだ「八尾四季」である。放庵は日光出身で大正14年(1925)に東京大学安田講堂の壁画を描いたことでも知られている。昭和4年(1929)、おわらの育成に力を注いだ初代おわら保存会会長、川崎順二に招かれ、翌年詠んだ歌詞である。

<八尾四季>
ゆらぐつり橋手に手をとりて
 渡る井田川 オワラ 春の風
富山あたりかあの灯火は
 飛んでゆきたや オワラ 灯とり虫
八尾坂道わかれてくれば
  露か時雨か オワラ はらはらと
若しや来るかと窓押しあけて
 見れば立山 オワラ 雪ばかり

この八尾四季を基に若柳吉三郎が、春夏秋冬にそれぞれ異なった所作がある「四季の踊り(女踊り)」と「かかし踊り(男踊り)」を振り付ける。放庵が八尾で滞在したのは鏡町の旅館「杉風荘(さんぷうそう)」である。

放庵は、疎開のために新潟県赤倉に住居を移し、戦後もそこで暮らすようになる。春陽会を共に立ち上げた中川一政と延楽に度々訪れる。延楽には小杉放庵の足跡が数多く残っている。放庵が好んで使用した紙は半漉きの和紙で、放庵紙 と呼ばれる特注のものだった。