色絵透雪笹小鉢

<蟹味噌と身抜き>

雪がしんしんと降り積もる宇奈月温泉。温泉につかりながらの雪見は、最高のおもてなしで風情があります。

1月5日から二十四節気の「小寒」に入りました。寒の内の富山湾の旬味は、ますます旨味が増してきます。その日の仕入れにより、蟹味噌、真鱈の白子、とらふぐの湯引き、車鯛の肝、寒カワハギの肝、鮟鱇の肝等々。酒のあてには最高の珍味で、雅膳の一皿です。あわせる地酒は、純米吟醸「勝駒」がお薦めです。

季節のうつは「色絵透雪笹小鉢」です。 笹に雪が積もる光景は様々に文様化され、うつわに取り入れられています。冬の美しい形の一つで、乾山写しにも見られます。

黄瀬戸片口中皿

<油揚げ肌の片口>>

富山湾を代表する冬の味覚の寒鰤は、小寒に入ると一段と旨味が増してきます。昨年11月20日に「寒鰤宣言」が出されてから、豊漁が続き漁業市場も活況を呈しています。昨年からひみ寒鰤の重さ基準は6kg以上から7kg以上に引き上げられました。大物は脂が乗り、特に腹身は上質な脂が乗り、お刺身に大根おろしを添えて食すると格別です。

季節のうつわは「黄瀬戸片口中皿」で、加藤作助の作品です。しっとりと潤いのある油揚げ肌の黄瀬戸の器にあいます。

乾山写笹鉢向付

<香箱蟹>

香箱蟹は、「活け蟹会席」「雅膳」の一皿です。追加料理としても人気があります。香箱蟹は、津合蟹の雌で型が小さいために、丁寧に身を抜き甲羅に盛り付けます。つぶつぶの茶色の卵は、外子で特別の食感が味わえます。旨みが凝縮された味噌と、オレンジ色の内子は濃厚な味わいで、地酒と最高の組み合わせとなります。

雪の峡谷を愛でながらの蟹三昧。富山湾では香箱蟹は1月10日まで、雄の津和井蟹は3月20日まで漁が行われます。これから本格的な蟹シーズンとなります。

季節の器は、「乾山写笹鉢向付」です。寒の内でも緑を残す笹の葉は、乾山の銹絵雪笹紋で知られています。雪の縁取りで雪笹として図案化された向付もあります。

色絵雪松筒形向付

<甘鯛の蕪蒸し>

峡谷の雪景色が美しい頃、雪をあしらった器を使います。雅膳の一皿は蕪蒸しです。冬野菜を代表する蕪の旨味を優しく引き出す料理です。添える白身魚は甘鯛です。すりおろした蕪を雪に見立て、だしの効いた葛餡をかけます。

新年のうつわは「色絵雪松筒形向付」です。雪も図案化すると素晴らしくなります。

色絵ツボツボ重扇面皿

<のど黒西京焼き>

冬の「のど黒」は、脂がのり旨くなります。お造りは、少し炙った焼霜づくりは格別です。塩焼きも脂の旨味が十分味わえます。吟醸酒粕を混ぜた味噌に漬けて焼くと、脂の旨味に深みが出ます。勝駒純米吟醸と合わせます。

季節のうつわは「色絵ツボツボ重扇面皿」です。
ツボツボ紋とは、三千家の替紋です。ツボツボは口が窄まった形をした小さな素焼きの器で、伏見稲荷大社の門前で売られていました。これに稲荷山の土を入れて持ち帰り田畑に埋めて五穀豊穣の祈願をします。宗旦が伏見稲荷信仰をしていたこことから替紋として使われたそうです。

輪島塗・盛器黒へぎ目と雪松絵杉蓋

<幕の内の前菜>

 正月も明け、寒の入りを迎えて寒さは一段と厳しくなります。雪吊りの松に、雪が纏わり冬本番となりました。幕の内の匠膳の前菜は、富山の冬の旬味を盛りつけます。

季節のうつわは「輪島塗・盛器黒へぎ目と雪松絵杉蓋」です。 雪松の代表的な美術品は三井家所蔵の「雪松屏風」です。作者は、江戸中期に活躍した丸山派の祖である丸山応挙です。
常緑樹の松は、長寿や吉祥を象徴し、雪は新しさの象徴です。雪松は、新年に相応しいものとなります。

仁清色絵束熨斗向付

<お正月の器>

新年の雅膳に使う向付の中に、束熨斗をデザインしたものがあります。良き年であることを願って使います。
熨斗は奈良時代に編纂された日本書紀に記述がみられます。起源は鮑を伸ばして乾燥させた熨斗鮑で、神様への供え物でした。熨斗鮑は、古来の製法を守りながら今も、伊勢神宮に奉納されています。

季節のうつわは「仁清色絵束熨斗向付」です。金彩を使って熨斗が描かれています。更には松竹梅がデザインされて吉祥文になっています。正月のお膳を飾る華やかな器です。

仁清色絵宝船絵向付

<縁起物の宝船>

正月2日に宝船の絵を枕の下に入れて寝ると、よい初夢を見ることができると言われています。宝船とは、七福神や八仙が乗る宝物を積み込んだ帆船のことで、縁起物として親しまれています。また新年を表す季語でもあります。

季節のうつわは「仁清色絵宝船絵向付」です。今年は良き寶物に巡り合いますように願っています。

仁清日ノ出六寸皿

<寒鰤塩焼き>

新しい年の幕開けです。新年の焼き物は、出世魚の鰤の塩焼きです。おめでたい出世魚の塩鰤はお雑煮にも使われます。

新年のうつわは「仁清日ノ出六寸皿」です。日の出は朱で、雲は金彩を使った新年にふさわしい器です。

仁清色絵寿鶴六寸皿

<旭日に群鶴>

新年明けましておめでとうございます。
本年、文化サロン「清渓」はオープン3年目を迎えます。今年も展示コーナーで季節のうつわを紹介いたします。加えて日本画に囲まれた空間で、東京芸術大学前学長の澤和樹先生のバイオリンと奥様の蓼沼恵美子先生のピアノによるサロンコンサートも定期的に開催いたします。
2月8日(土)、2月9日(日)は「黒部の冬の旅」のタイトルで澤亜紀様も加わってのファミリーコンサートを開催いたします。

本年もよろしくお願い申し上げます。

新年のうつわは「仁清色絵寿鶴六寸皿」です。
旭日に群鶴を描いた吉祥の図柄です。