飴釉葉皿

<釉溜りが美しい>

秋の深まりが少しづつ感じられるようになりました。
料理の中に飴釉の器を使うと不思議と落ち着いてきます。透明感があり釉溜まりが美しく、果物も美しく映えます。

季節の器は「飴釉葉皿」です。
飴釉は、鉄釉の一種で酸化焼成によって飴色に呈色したものをいいます。釉成分として調製される含鉄土石に含まれる鉄分の量で発色が違ってきます。
焼き上がりが赤黒い色を呈するもを鉄砂釉、赤褐色に焼き上がるものを柿釉、黒色に焼き上がるものが黒釉です。飴釉は鉄分5~6%で黄色を帯びた黒褐色に焼き上がるものをいいます。

水始涸(みずはじめてかるる)

<「収穫の頃」第43回春の院展:セレネ美術館蔵>

10月3日から七十二侯は「水始涸(みずはじめてかるる)」で、二十四節気「秋分」の末侯となります。収穫の秋を迎え、田圃から水が抜かれる頃という意味です。黄金色に輝いていた黒部川扇状地の田圃は、ほぼ刈り取りの終わりを告げます。

黒部峡谷・セレネ美術館の所蔵作品の中に田渕俊夫画伯の「収穫の頃」があります。画伯の愛知芸術大学教授時代に描かれた作品です。当時大学の近くの長久手に住居とアトリエを構え、周りの田圃風景を題材にした作品を多く残こされています。その代表作が「収穫の頃」です。稲を刈り取った後の藁を燃やした煙が、水平に棚引く様子は、収穫の安堵感と感謝の念が伝わってくる名品です。

セレネ美術館では、芸術の秋に相応しい黒部を題材にした数々の作品を展示しています。日本画壇の巨匠たちは、黒部の山々に分け入って取材し作品を制作しました。日本画の大作を通して黒部峡谷の魅力を感じ取っていただければ、旅の楽しさが一段と広がります。

晒菜升麻(サラシナショウマ) キンポウゲ科

<純白の花が美しい>

晒菜升麻(サラシナショウマ)は、宇奈月の低山から、亜高山帯の沢沿いに生える、キンポウゲ科の多年草です。

根出葉は大きく、長柄があって、1~2回3出複葉で、小葉が多くあります。早いものは9月の初めから、長い総状花序を付けます。花弁は白色で、山鳥兜と同時期に咲き出します。沢沿いに山鳥兜の群青と晒菜升麻の純白のコントラストが美しく映えます。

名前の由来は若葉を煮て水で晒して食べるところからきています。キンポウゲ科の植物はアルカイロイドを含んでいる毒性の物が多くあります。漢方の升麻は、この地下茎からとり古くから解毒、解熱用として用いられました。

青磁の花入れに鳥兜と生けると、葉の形も見事で最高の取合せです。