上溝桜(ウワミズザクラ) バラ科

<甘い香りを漂わす上溝桜>

上溝桜(ウワミズザクラ)は、宇奈月の山野に自生するバラ科の落葉高木です。
高さは10~20mになります。

葉は桜の葉と同様で楕円形で先が細くなり、縁には鋸歯があります。
木肌は桜と全く同じです。開花は5月の初旬、新枝の先の長い花序に小白花を多数つけるので白いブラシのように見えます。
辺り一面に甘い匂いを漂わせ、遠くから見ると雪が積もったように見えます。
早朝ウォークのコースである「やまびこ遊歩道」でも見ることができます。

果実は、初夏の頃に赤くなりやがて黒く熟します。
この実は一種のサクランボで、これを狙って野猿達が集まってきます。
絶好の餌となります。

緑彩八ツ橋向付

<春の彩と香り>

雅膳の一皿は、氷見牛の炙りです。
柔らかくて旨味のある氷見牛は、宇奈月ビールと合います。
宇奈月周辺の山野には山菜が芽吹いています。
山菜の柔らかな新芽と、爽やかな苦みを併せてお楽しみください。

季節のうつわは、「緑彩八ツ橋向付」です。
萌黄色の緑彩は、新緑の黒部の山々を表しています。
黒部峡谷鉄道のトロッコ電車に乗車すると、新緑と残雪の山々がご覧いただけます。

牡丹華(ぼたんはなさく)

<牡丹:日本画家・松尾敏男>

4月30日から七十二侯は「牡丹華(ぼたんはなさく)」で二十四節気「穀雨」の末侯となります。百花の王である牡丹が大輪の花を咲かせる頃という意味です。牡丹は、俳句では夏の季語で、春の終わりを惜しむように咲き、夏への橋渡しをしてくれます。宇奈月温泉は、牡丹の開花間近です。

延楽は日本画壇の先生達がよく逗留される宿でした。日本美術院の故堅山南風先生も常連で、そのお弟子さん達の作品も多く残っています。とりわけ松尾敏男画伯の「牡丹」は気品があり、展示すると周りが華やかになります。本日からロビーに展示されます。

宇奈月温泉では山から吹き下ろす早朝の風は、まだ肌寒く雪が残った山肌と麓の新緑が目に優しいコントラストを作り出しています。雪が消えた原野では片栗(カタクリ)や黄華鬘(キケマン)の群生が現れ、春の陽光を浴びて一斉に花開します。時折、鶯の鳴き声が心地よく響きます。

5月2日は、立春から数えて88日目となります。「夏も近づく八十八夜」です。夏がすぐそこまでやってきています。

一人静(ヒトリシズカ) センリョウ科

<樹林内でひっそりと咲く一人静>

一人静(ヒトリシズカ)は、宇奈月の山林内に生えるセンリョウ科の多年草で、日本固有種です。
根茎から地上に出る茎は直立し、その先に1本の穂状花序を出します。
小さな白い花糸からなる姿が名前の由来です。
頂部の 輪生しているかのように見える4個の葉は、対生する2組の葉からなり、縁には鋸歯があり光沢があります。

「万葉集」や「古事記」には「次嶺(つぎね)」と表記されています。
幾つもの山を越えたところにある事に由来しているようです。
穂状花序が2本の二人静(フタリシズカ)はこの後、咲き始めます 。

木通(アケビ) アケビ科

<新緑の若葉と薄紫の花が美しい>

木通(アケビ)は、宇奈月の山中で見られるアケビ科の落葉性木本です。 アケビのように地上部が多年にわたって繰り返し開花、結実し、茎が木化し肥大成長した物を木本(もくほん)といいます。これに対して地上の茎の木部があまり発達せず、1年から数年で枯れる植物を草本(そうほん)と言います。

蔓は左巻きに他の木に絡み成長します。 花は短枝から総状花序を下垂し淡紫色の小花を開かせます。 葉は五個の掌状複葉で、まれに七葉のアケビも見られます。 三葉の物は三葉木通(ミツバアケビ)で、紫褐色の花はお茶花として好まれています。

高麗色絵八ツ橋蓋向

<のどぐろと春野菜の炊合>

富山湾の生地沖で獲れるのど黒は、形が大きくて脂がのっているので人気があります。
刺し網で丁寧に水揚げするので味は格別です。
のど黒と春野菜の焚合せは 「延楽・のど黒会席」の一品です。

季節のうつわは「高麗色絵八つ橋蓋向」です。
菖蒲が金彩の縁取りで、華麗に描かれています。
明治初期にアメリカ人のフェノロサーやビゲロー等を魅了してやまなかった京焼です。

大立坪菫(オオタチツボスミレ) スミレ科

<林縁にひっそりと咲く菫>

大立坪菫(オオタチツボスミレ)は、宇奈月の山の木陰や林内に生えるスミレ科の多年草です。

豪雪地帯に多く見られるスミレで、茎は地下茎から多数出て長さ20cmから40cmぐらいになります。 葉は、円心形で大きくて先が尖らないのでタチツボスミレと区別ができます。 花は地上茎の葉腋からでて長い柄があり、淡紫色で可憐に開花します。

花が終わる初夏には小さな蕾のように見える閉鎖花を出し、果実を作ります 。

渕赤七宝紋皿

<山菜とホタルイカの天婦羅>

宇奈月の野山は、山菜取りの季節になりました。
残雪が融けだすとワラビやウド、コゴミゼンマイ、タラノメ、ススタケ、ウルイなどが現れます。山菜の苦みは、油で揚げることによって食べやすくなります。
ホタルイカのワタは油で揚げると格別のうまみが出ます。
春の香りを天婦羅でお楽しみください。

季節のうつわは「渕赤七宝紋皿」です。
白磁に赤の彩色が映えます。

三葉躑躅(ミツバツツジ) ツツジ科

<黒部峡谷の断崖に咲く三葉躑躅>

三葉躑躅(ミツバツツジ)は、黒部峡谷の岩場や痩せた尾根に自生するツツジ科の落葉低木です。

4月から5月にかけて峡谷や山の岩場を美しく彩ります。
枝は車状に出て、枝先の混芽から2、3個の紅赤色の花を付け、葉は後にでます。
花冠は、深く5裂し雄蕊は5個なのに対して、一般の躑躅は10本なので見分けがつきやすいです。
花が終ると枝先に3枚の葉が輪生するところからこの名が付きました。

早朝ウォークのコースの中で、山彦鉄橋を渡りきると岩場の上部で花を見かけます。
新緑の中に紅をさす色合いは、春ならではの光景です。

紫華鬘(ムラサキケマン) ケシ科

<儚く消える花です>

紫華蔓(ムラサキケマン)は、宇奈月の林道沿いの林縁や藪陰に多く見られるケシ科の越年草です。茎は柔らかく多汁質で紅色をおびています。 葉は根生し、2回3出複葉で柔らかくて先端には鋸歯があります。 瑞々しい薄い葉は、裏から光を当てると美しく萌葱色に浮かびます。

落葉樹の葉が成長し、その葉で陽光が遮られるとすぐに消えていく儚い春の植物で、スプリング・エフェメラルです。根にしっかりと栄養を蓄えますので、来春も美しい花をを咲かせます。 美しい花ですが、全草にプロトピンというアルカロイドを含む有害植物なので注意が必要です。