
雅膳の2泊目の千代口は、白海老と唐墨です。
白海老は醤油ではなくて、塩分を抑えた旨味出しを使います。
ほど良い旨味と柔らかな塩分の出汁は、白海老の繊細な甘みを引き出します。
季節のうつわは「祥瑞橘文向付」です。
橘は、常緑樹で葉は年中元気よく生い茂ることから、長寿や子孫繁栄の願いを意味する吉祥文様となります。
雅膳の2泊目の千代口は、白海老と唐墨です。
白海老は醤油ではなくて、塩分を抑えた旨味出しを使います。
ほど良い旨味と柔らかな塩分の出汁は、白海老の繊細な甘みを引き出します。
季節のうつわは「祥瑞橘文向付」です。
橘は、常緑樹で葉は年中元気よく生い茂ることから、長寿や子孫繁栄の願いを意味する吉祥文様となります。
山延胡索(ヤマエンゴサク)は、宇奈月の落葉樹林や林縁の適湿地に開花するケシ科キケマン属の多年草です。
全体に毛が無く10cm前後の繊細な山野草です。葉は、2個互生し3出羽状複葉で柔らかく、切れ込みが入り緑色が最も美しい葉です。花は茎の上部に総状花序につき、淡い青紫色や濃い赤紫色まで様々な色のものがあります。花の長さは2cm位で、筒状で先が唇形に開きます。
淡い色と姿から「水色の妖精」とも呼ばれています。 宇奈月温泉の原野では、菊咲一華の隣で咲いているのが見られます。 春の山野草をめでる季節の到来です。
小鉢として染付、古染付、祥瑞の文様や色合いが、よく使われます。
滞在のお客様には、鮮やかな色絵の小鉢を使って雰囲気を変えます。
そのうつわの華やかさで料理が映え、同じ宿で連泊することの楽しみが増えます。
季節のうつわは「色絵丸紋胴紐小鉢」です。
色絵磁器は、陶磁器の釉面に上絵付した加飾磁器で、赤絵、錦手、五彩、十錦手、粉彩、豆釉、染錦手などを総称するものです。
色絵磁器では、色絵の呈色を良好に保つために、白磁素地の純白さが要求されました。
羽団扇楓(ハウチワカエテ)は、宇奈月の山地に生えるカエデ科の落葉高木です。
葉は大型で祖鋸歯があり7裂し天狗の団扇に似た形をしていて、名前の由来となっています。花は、一つの株に単性花と両性花が混ざり合っている雌雄雑居性で、葉よりわずかに早く開きます。若枝の先に紫紅色の散房状花序を下げ、柔らかな萌黄色の新葉とのコントラストが美しく映えます。実は翼果となり回転しながら落下します。花、若葉、紅葉とも美しいので「名月楓」とも呼ばれています。
黒部の山々には多くの種類の楓が見られます。 楓とは似ても似つかぬ葉の一葉楓、薄緑の花の板屋楓、樹が緑色の瓜肌楓、小型の小羽団扇楓、葉の切れ込みの深い、いろは紅葉、少し切れ込みの浅い山紅葉、葉が大きくて切れ込みの浅い大紅葉、等等まだまだあります。秋には深紅や黄色に色づき黒部峡谷の紅葉の美しさを造り出しています。
延齢草(エンレイソウ)は、宇奈月の深山や、山地の樹陰に生えるユリ科の多年草です。
太く短い根茎から15cmから20cmの茎が1本伸び、その頂部に3個の葉が輪生します。葉は、広卵円形で葉柄を持たず茎から3枚の葉を直接つけています。葉が双葉葵に似て立っているので立葵とも呼ばれています。花は、輪生した葉の中心から出る花柄の上につき、花弁はなく濃い紫色に近い茶褐色の3個の萼片からなり横向きに咲きます。
根茎にはサポニンが含まれる有毒植物ですが、根茎を干したものを延齢草根と言い、胃腸薬などの薬草として使われていました。このことが延齢草の名前の由来となっています。
黄花碇草(キバナイカリソウ)は、宇奈月の山の則面に自生するメギ科の多年草です。
茎の高さは40cmから60cmで、まばらに分岐します。根出葉は長柄があって複葉で、3枚つき2段階で分かれるので2回3出複葉と言います。4月に総状花序を出して淡黄色花を数個下向きに開きます。
碇と錨の違いは、碇はかつて日本船に使われていた4本爪のイカリのことで、錨は2本爪のイカリのこです。花の形が碇に似ていることが名前の由来となり、碇草の漢字になっています。碇草は滋養強壮の漢方薬として利用されてきました。花が散ると、葉が急激に大きく広がります。
片栗(カタクリ)は、宇奈月の落葉樹林内で群生するユリ科の多年草です。雪が解けた落葉樹林内で冷たい風に揺れながらひっそりと咲いています。
「万葉集」では堅香子(カタカゴ)の花として詠われ、かつては鱗茎から片栗粉を取り出したのが名前の由来です。『物部(もののふ)の 八十少女(やそおとめ)らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子(かたかご)の花』(万葉集第十九巻4143)と大伴家持が万葉集で詠んでいます。
大伴家持は、「令和」の出典「梅花の歌」の詠み人、大伴旅人の長子で、国司として5年間越中に赴任しています。越中の国衙が置かれていた場所は、現在の高岡市伏木古国府、浄土真宗本願寺派の古刹国宝「雲龍山勝興寺」のあたりです。
その古刹の北側に伏木神社があり、神社の西側に「万葉寺井の址」が残されています。待ちわびた北国の春に思いを寄せる家持の目には、清水を汲みに井戸に集まる乙女たちの笑い声と、その乙女たちを象徴するように咲いている堅香子(かたくり)が重なって見えたのかもしれません。
落葉樹の葉が広がり、樹林内の陽光が弱まると片栗の姿が瞬く間に消えてしまいます。スプリング・エフェメラルです。
4月20日から二十四節気は「穀雨」となります。春は、二十四節気の「立春」に始まり「穀雨」で終わりを告げます。
「穀雨」は、春雨が百穀を潤す事から名付けられ、種まきや田植えの準備の目安となります。変わりやすい春の天気もこの頃から安定し、日差しも徐々に強まります。
七十二侯は「葭始生(あしはじめてしょうず)」で「穀雨」の初侯となります。水辺の葭が、芽吹き始める頃という意味です。黒部峡谷は、萌黄色に染まり黒部奥山ではブナの峰走りが現れる頃となります。
冬期間運休していた黒部峡谷鉄道は、例年より積雪が多いので一部区間運転となります。
4月20日から柳河原発電所がある柳橋駅まで、5月3日から宇奈月の源泉のある黒薙の次の笹平駅まで、5月10日から猫又までの運転となります。
欅平までの全線運行については、能登半島地震による落石で鐘釣橋が損傷し、その補強と落石対策の工事が終わり次第運行されまが、来年以降の運行となります。
深いV字峡谷を刻んで流れる「穀雨」の黒部川は、山々の雪解けが進み、水量を増しながら激流となって富山湾へと流れていきます。
黒部の峡谷に吹く風はまだ冷たく、時折山桜の花びらを運んできます。森羅万象の緑は、訪れる人々の心を癒してくれます。
<蘭人文は皿などにもみられる>
雅膳の一皿は、春の香りの若竹煮です。
富山県内産の柔らかな若竹と若芽の煮物です。
宇奈月の山では山菜が芽吹き、タラの芽、蕗、こごみ等が春の香りを届けます。
季節のうつわは「古伊万里金襴手蘭人文蓋付碗」です。
金襴手とは色絵陶磁器に金彩を焼き付ける装飾法で、中国北宋時代の11世紀に定窯で始められました。
その後、明時代の嘉靖年間になって、景徳鎮民窯で絢爛たる金襴手を完成させました。
その作風により、色絵金襴手、赤地金襴手、萌黄金襴手、白地金襴手、瑠璃地金襴手、三彩地金襴手に分類されます。
わが国では、元禄年間(1688-1704)に伊万里焼が景徳鎮窯の金襴手を手本にして、金泥を色絵素地に焼き付ける意匠を開発しました。
富山湾から水揚げされる春の旬魚は、種類が豊富です。
今が旬の白海老、富山海老、ホタルイカ、アオリイカ、ヒラメ、ヒラマサ。そのほか細魚、メバル、ブダイ、白海老、のど黒等々。
新鮮なお造りは、延楽特別醸造の醤油と煎り酒でお召し上がりください。
季節のうつわは「九谷赤絵金彩七賢人平皿」です。
九谷赤絵は、弁柄と呼ばれる鉄分を含む赤い顔料を使い、金襴を施して仕上げます。
繊細で緻密な書き込みが特徴で、明治初期に欧米への輸出用として制作されました。
九谷焼の貿易に乗り出した円中組の円中孫平や、パリ在住の林忠正が活躍した時代です。