九谷牡丹絵六角皿

<六角の輪花>

富山県は、昆布の消費量が全国一です。明治の初めから北海道の昆布漁場の開拓に、県内から多くの人たちが携わりました。また北前船での北海道との交易が盛んで、富山から北海道へ米を運び、帰りの船で昆布をはじめとする海産物を運んできました。従って食材としての昆布は身近なものでした。昆布を使った料理は多くありますが、昆布締めもその一つです。新鮮な魚を昆布で〆ます。

季節のうつわは「九谷牡丹絵六角皿」で、大正期の作品です。北前船は日本海側の寄港地に陶器や漆器など、生活向上のための様々な器をもたらしました。

染付波絵舟形小向

<涼しげな小向>

富山県朝日町の泊漁港の沖合に深さ400mの岩礁域があります。そこに生息する巨大魚が石投(イシナギ)で、地元ではオイボと呼んでいます。5~6月の産卵期には水深150m位のところまで上がってきます。この時、一本釣りで釣り上げます。皮や卵巣は珍味でゼラチンを多く含みますので、煮凝りにして食します。

季節のうつわは、「染付波絵舟形小向」です。呉須の波絵で季節を味わえます。

仁清色絵藤絵六寸皿

<柳鉢目の煮つけ>

「雅膳」・2泊目の滞在料理の煮物は、柳鉢目(ヤナギバチメ)の煮付けです。富山湾の柳鉢目漁も終盤になると大物が水揚げされます。大物を吟味して炊合わせにします。

季節のうつわは「仁清色絵藤絵六寸皿」です。山を彩る山藤の花が散ると、二十四節気の芒種に入ります。梅の実が色づき熟してきたら、いよいよ梅雨入りとなります。

染付花菱文皿

<染付の花菱文>

雅膳のデザートは、果物の色を引き立たせるため白磁の皿を用います。コバルトブルーのシンプルな線が和の雰囲気を与えます。

季節の器は「染付花菱文皿」です。呉須の繊細な線が器に貴賓を与えます。花菱文の他に、松菱文や雪割文の染付の文様が白磁には美しく映えます。

青油滴天目輪花向付

<宇宙のような広がりの油滴天目>

富山湾の平目には雲丹が合います。延楽自家製の煎り酒でお刺身をいただきます。合わせるお酒は、地酒・勝駒純米吟醸です。

季節のうつわは、「向付・青油滴天目輪花」です。深みのある群青と油滴が生み出す宇宙観は、芸術作品となります。

色絵綾目絵楕円皿

<大胆な菖蒲絵>

黒部市の生地漁港には、大物の「のど黒」が水揚げされています。大きな網目の刺し網漁なので、脂ののった大物だけが獲れます。のど黒の美味しさを追求した「のど黒膳」の一皿は、焼物です。その他、お造り、しゃぶしゃぶも味わえます。

お薦めの地酒は、千代鶴酒造の「恵田」です。重みのあるしっかりとした味わいなので、脂ののった「のど黒」に合います。富山県が生み出した酒米「富の香」を使用しています。不思議な香りをお楽しみください。

季節のうつわは、「色絵綾目絵楕円皿」です。綾目の大胆な構図が料理を引き立てます。

黄交趾菖蒲形向付

<越中宮崎産・岩モズク>

越中宮崎産の岩水雲(イワモズク)が旬を迎えました。宮崎漁港は、富山県朝日町で新潟県境に位置します。

一般の水雲(モズク)は、ホンダワラ等の藻につきますが、岩水雲(イワモズク)は、岩礁につきます。太くて歯ごたえがあるので口いっぱいに磯の香りが広がります。 合わせる地酒は朝日町の林酒造の「大吟醸黒部峡」がお薦めです。 ふくよかで切れのいいお酒です。

季節のうつわは「黄交趾菖蒲形向付」です。 宇奈月公園の黄色の花菖蒲が咲き始めます。

織部糸巻角皿

<織部角皿>

富山湾に蜃気楼が現れる頃になると、桜鱒が遡上の準備を始めます。富山湾の沖合には、生まれた黒部川を目指して南下してきた桜鱒が定置網にかかります。雅膳の一皿は桜鱒の木の芽焼きです。

桜鱒は、雪融水で川が増水すると宇奈月周辺まで遡上し、産卵までの間は深い淵に潜んでいます。外気温が下がり、山々が色付いてくると産卵を始めます。

季節のうつわは「織部糸巻角皿」です。掻き落としの溝には、織部釉が溜まり緑色に発色します。瑞々しい黒部の新緑に合った器です。

大聖寺伊万里向付

<染錦手伊万里の本歌取り>

ホタルイカ漁も終盤になってきました。形も大きなものが目立つようになりました。お湯にくぐらせると形が丸みを帯びてきます。ボイルした蛍烏賊の内臓には格別の旨味があります。雅膳の一皿は、蒸し鮑と蛍烏賊の酢の物です。

季節のうつわは、「大聖寺伊万里向付」で、滝口加全の作品です。大聖寺伊万里焼とは明治4年の廃藩置県により、大聖寺藩の支援を受けられなくなった九谷焼の窯元が生き残り策として、当時人気が高く高額で取引されていた有田の染錦手伊万里を写しました。古伊万里の傑作である有磯文様、赤玉文様、五艘船文様を描いた鉢や菊型皿、姫皿等、その特徴をよく捉え、国内外で人気の陶器となりました。

滝口加全は、京都で12代永楽善五郎(和全)に師事し、中国古陶磁、仁清、乾山、交趾の写しを得意とし、九谷焼の指導をします。和全より和と加賀の加にちなむ「加全」の号を授かりました。2代目加全もすぐれた作品を残しています。北陸の旧家には大聖寺伊万里が多く残っています。

仁清色絵波絵切込皿

<五寸五分皿>

蛍烏賊も大ぶりの物が多くなってきました。釜茹で食すのもお勧めです。最もお勧めなのがお造りです。ゲソは生姜醤油で竜宮素麺でいただきます。山菜のヨシナの食感も爽やかで、今が旬です。雅膳の一皿です。

季節のうつわは、「仁清波絵切込皿」です。四方に切込みが入り小形なので、蛍烏賊を盛りつけるのに適した器です。5月5日から夏の始まりの二十四節気の「立夏」に入りました。波絵の器は、初夏から夏に使います。