赤楽合蛤向付

<上巳の節句にかかせない器>

上巳の節句で欠かせないのが蛤合わせの器と、食材としての蛤で、吸い物や天麩羅として使います。産卵前にあたり一番おいしい時期で、蛤の持つ旨味に加えて甘みがあり油で揚げることによって更に味が増します。

季節の器は、「赤楽合蛤向付」です。赤楽は素地に酸化鉄の粘土を塗って赤色をつけ、透明の釉をかけて焼いたものです。蛤は対の貝殻しか絶対に合わないことから貞操を象徴し、相性の良い伴侶と結ばれることを願う縁起物として使われます。

仁清写色絵桃絵桃形向付

<桃の形の向付>

3月3日の桃の節句は、古代中国の上巳の節句が由来とされています。もともとは旧暦3月最初の巳の日に行われていました。それを今の暦に合わせたため、1か月ほど早く行うことになります。宇奈月では桃の花はまだ咲いていないので、器の花を味わっていただきます。雅膳の一皿は、今が旬の才巻と春野菜の炊合せです。

季節の器は「仁清写色絵桃絵桃形向付」です。桃の形の向付に桃花の絵付けは、卓上を華やかにしてくれます。

色絵手毬絵向付

<手毬の柄がすべて違う>

上巳の節句はもうすぐです。雅膳の一皿は、酢の物で津合蟹の身抜きです。

季節の器は「色絵手毬絵向付」です。手毬に使われる絹ならではの美しい光沢を金彩であらわしています。

加賀藩では娘が嫁ぐときに手縫いの毬を魔除けとして持たせる習慣がありました。毬の中には鈴が入っていて良くなるという掛詞で縁起物とされていました。それが加賀手毬の由来です。群青、金茶、朱赤の三色を用いて伝統的な模様を守っています。

祥瑞一閑人向付

<祥瑞の鉢の写し>

蓋置、火入などで、小さな人形が一つ、内側をのぞくような姿でつけられている意匠のものを一閑人といいます。人形を閑人に見立てた説もありますが、井戸を看る意味の「井看人」とも書きます。

雅膳に使う向付の一皿に「祥瑞一閑人向付」があります。明時代(17世紀)の景徳鎮で焼かれた祥瑞の鉢に、見込み口返に一閑人が付いているものがあります。これは、それの写しであると考えられます。

白磁雪輪形四五皿

<雪の結晶をデザイン化>

雪が雨に変わり、雪や氷が溶けて水となる二十四節気の雨水。この雨水の期間に、晴れた寒い朝に山から吹きおろす冷たい風に乗って、風花が舞うのが見られます。純白の花ようです。雅膳の先付は、風花の器を使います。

季節の器は「白磁雪輪形四五皿」です。雪輪文は雪の結晶を文様化したもので、輪花状の円に六方の小さな切れ込みが入ったものが基本となります。この器は、向付の輪郭をシンプルな雪輪形にしたもので、皿などにも見られます。もっと複雑な形をした雪輪も見られます。

飴釉俵形向付

<はちめの煮付け>

鉢目は、富山湾の水深100m~150mの岩礁地帯に生息しています。成長するにつれ深所に移動します。くせのない白身で身のしまりがいいので、煮付けが美味しいです。

季節の器は、「飴釉俵形向付」です。飴釉が美しい味わい深い陶器です。

飴釉とは、鉄釉の一種で酸化焼成によって飴色に呈色したものをいいます。鉄釉は、含まれる鉄分の量で発色に違いが出てきます。鉄分の多い順に、焼き上がりが赤黒いものを鉄砂釉、赤褐色のものを柿釉、黒色のものを黒釉、黄色を帯びた黒褐色のものを飴釉として分類します。

染付祥瑞輪花向付

<針木輪花>

雅膳の一皿は、津合蟹の蟹味噌です。強い甘みの身抜きと濃厚な蟹味噌を味わってください。冬の蟹味噌は格別です。津合蟹漁は3月20日まで行われます。

季節の器は「染付祥瑞輪花向付」です。染付の色合いが見事な三浦竹泉の作品です。

輪花とは器の口縁に規則的に入れた切込みが花弁を連想させる装飾のことで、とくに東アジアの陶磁器において多く見られます。日本では1630~1640年代、茶人の趣味を反映して不規則な輪花装飾が考案され、中国景徳鎮に注文されました。特に祥瑞、色絵祥瑞にその遺品が多く伝わっています。

色絵椿絵向付

<春を告げる魚:眼張(メバル)の煮付け>

二十四節気の雨水を迎えると、春告げ魚である眼張(メバル)がおいしくなります。富山県内では、目が大きくて鉢のようなので、鉢目(ハチメ)と呼んでいますが、正式名称はウスメバル。県内では他にヤナギバチメ、アオヤギなどと呼んでいます。脂肪が少なく淡白なくせのない白身なので煮付けが美味しいです。

季節の器は、「色絵椿絵向付」です。椿は、お茶花として初冬が18種、早春が29種あります。いずれも趣があります。

染付波斯模様高台皿

<大根おろしと山葵・地元醸造醤油で>

二十四節気の「雨水」に入ると雪から植物の芽吹きを助ける雨に変わるのですが、時たま冬型の気圧配置に逆戻りすることがあります。一時的に大雪をもたらすことは季節の変わり目のシグナルです。

富山湾では、大物の寒鰤が定置網に入ってきます。地元では寒鰤の造りは厚めに引きますが、脂が乘っている部位は少し薄めに引いて大根おろしを添えると、格別の味わいとなります。合わせる地酒は、千代鶴酒造の「恵田」がおお勧めです。

季節の器は「染付波斯模様高台皿」です。波斯はペルシアのことで、染付で波斯模様の器は、和食の器の取り合わせに緊張感を与えてくれます。高台の皿は、寒鰤の中でも一番おいしい部位を盛るのに相応しい器です。

仁清色絵桃花絵六寸皿

<上巳の節句が近づく>

雪が雨に変わる頃、二十四節気は「雨水」に入ります。宇奈月温泉は夜半の雪でまだ寒さが残りますが、富山湾の魚たちは春の便りを届けてくれます。延楽・雅膳、早春のお造りは、 赤烏賊、細魚、真鯛、鮪です。

季節の器は、「仁清色絵桃花絵六寸皿」です。もうすぐ上巳の節句です。