染付波絵舟形小向

<涼しげな小向>

富山県朝日町の泊漁港の沖合に深さ400mの岩礁域があります。
そこに生息する巨大魚が石投(イシナギ)で、地元ではオイボと呼んでいます。

5~6月の産卵期には水深150m位のところまで移動します。
この時を逃さず一本釣りで、つり上げます。
皮や卵巣には、ゼラチンが多く含くまれているので、涼やかで美しい煮凝りにします。

季節のうつわは「染付波絵舟形小向」です。
呉須の波絵で季節を味わえます。

仁清色絵藤絵六寸皿

<柳鉢目の煮つけ>

滞在料理の煮物としてよく使うのは、柳鉢目(ヤナギバチメ)です。
富山湾の柳鉢目漁も終盤になると大物が水揚げされます。
大物を吟味して炊合わせにします。

季節のうつわは「仁清色絵藤絵六寸皿」です。
山を彩る藤の花が散ると、二十四節気の芒種に入ります。
梅の実が色づき熟すると、いよいよ梅雨入りとなります。

染付花菱文皿

<染付の花菱文>

雅膳のデザートは、果物の色を引き立たせるため白磁の皿を用います。
コバルトブルーのシンプルな線が和の雰囲気を与えます。

季節のうつわは「染付花菱文皿」です。呉須の繊細な線が器に貴賓を与えます。
花菱文の他に、松菱文や雪割文の染付の文様が白磁には美しく映えます。

青油滴天目輪花向付

<宇宙のような広がりの油滴天目>

富山湾の平目には雲丹が合います。延楽自家製の煎り酒でお刺身をいただきます。
合わせるお酒は、地酒・勝駒純米吟醸です。

季節のうつわは「向付・青油滴天目輪花」です。
深みのある群青と油滴が生み出す宇宙観は、芸術作品となります。

乾山写色絵瓔珞紋角向付

<地鱒の握り>

葉桜が映える頃、富山湾から地鱒(桜鱒)が遡上します。
地元では桜鱒を地鱒と言って大事に取り扱っています。
地鱒は、黒部川を遡上し宇奈月周辺に達すると、深い淵に潜んだり支流へと遡上したりします。山々が錦繍に輝く頃、支流で産卵します。

延楽・雅膳の滞在の一皿は、地鱒の握りです。
季節のうつわは「乾山写色絵瓔珞紋角向付」です。

黄交趾菖蒲形向付

<越中宮崎産・岩モズク>

越中宮崎産の岩水雲(イワモズク)が旬を迎えました。
宮崎漁港は、富山県朝日町で新潟県境に位置します。

一般の水雲(モズク)は、ホンダワラ等の藻につきますが、岩水雲(イワモズク)は、岩礁につきます。太くて歯ごたえがあるので口いっぱいに磯の香りが広がります。
合わせる地酒は朝日町の林酒造の「大吟醸黒部峡」がお薦めです。 ふくよかで切れのいいお酒です。

季節のうつわは「黄交趾菖蒲形向付」です。
宇奈月公園の黄色の花菖蒲が咲き始めます。

仁清色絵藤絵向付

<甘い香りの山藤>

宇奈月の山々に藤の花が下がるようになりました。
花に近づくと甘い香りが、漂い初夏の訪れです。
涼やかな夏野菜が出てきました。それぞれ優しく含め煮にしてあります。

季節のうつわは「仁清色絵藤絵向付」です。
藤の花が美しく描かれています。

織部糸巻角皿

<織部角皿>

富山湾に蜃気楼が現れる頃になると、桜鱒が遡上の準備を始めます。
富山湾の沖合には、生まれた黒部川を目指して南下してきた桜鱒が定置網にかかります。雅膳の一皿は桜鱒の木の芽焼きです。

桜鱒は、雪融水で川が増水すると宇奈月周辺まで遡上し、産卵までの間は深い淵に潜んでいます。外気温が下がり、山々が色付いてくると産卵を始めます。

季節のうつわは「織部糸巻角皿」です。
掻き落としの溝には、織部釉が溜まり緑色に発色します。
瑞々しい黒部の新緑に合った器です。

大聖寺伊万里金襴手中皿

<加全作の大聖寺伊万里>

ホタルイカ漁も終盤になってきました。形も大きなものが目立つようになりました。
お湯にくぐらせると形が丸みを帯びてきます。
ボイルした蛍烏賊の内臓には格別の旨味があります。

季節のうつわは「大聖寺伊万里金襴手中皿」で滝口加全の作品です。
昭和8年頃の作品です。

大聖寺伊万里焼とは明治4年の廃藩置県により、大聖寺藩の支援を受けられなくなった九谷焼の窯元が生き残り策として、当時人気が高く高額で取引されていた有田の染錦手伊万里を写しました。
古伊万里の傑作である有磯文様、赤玉文様、五艘船文様を描いた鉢や菊型皿、姫皿等その特徴をよく捉え、国内外で人気の陶器となりました。

滝口加全は、1872(明治5)年石川県で生まれ1890(明治23)年に京都で12代永楽善五郎(和全)に師事し、7年後に京都五条で独立します。
和全より全と加州の加にちなむ「加全」の号を授かりましたました。
作品は中国古陶磁、仁清、乾山、交趾の写しを得意とし、大聖寺で九谷焼の指導を行いやがて窯を築きます。
2代目加全もすぐれた作品を残しています。
北陸の旧家には、大聖寺伊万里の器が数多く受け継がれています。

仁清色絵波絵切込皿

<五寸五分皿>

蛍烏賊も大ぶりの物が多くなってきました。釜茹で食すのもお勧めです。
最もお勧めなのがお造りです。ゲソは生姜醤油で竜宮素麺でいただきます。
山菜のヨシナの食感も爽やかで、今が旬です。雅膳の一皿です。

季節のうつわは、「仁清波絵切込皿」です。
四方に切込みが入り小形なので、蛍烏賊を盛りつけるのに適した器です。
5月5日から夏の始まりの二十四節気の「立夏」に入りました。
波絵の器は、初夏から夏に使います。