深山金梅(ミヤマキンバイ) バラ科

<岩場を黄金色に彩る>

深山金梅(ミヤマキンバイ)は、宇奈月の高山の岩場に自生するバラ科の多年草です。

茎は赤みがかり高さ10cmから20cmの小形で、根出葉は太い根茎上に数個つき、卵型で鋸歯のある3枚の小葉からなります。花は黄色の5片花で花びらの内側はオレンジ色です。

花は、信濃金梅(シナノキンバイ)とよく似ています。シナノキンバイはキンポウゲ科でトリカブトのように葉の切れ込みが深く、細く分裂しています。

色絵山水十二角足付皿

<艶やかな色絵>

雅膳の一皿は、赤烏賊と牡丹海老の昆布締めです。軽く昆布で締めてありますので締め具合が絶妙です。季節のうつわは「色絵山水十二角足付皿」で、初代宮永東山の作品です。造形と色合いが優麗な作品です。

宮永東山は、明治元年加賀で生まれドイツ語、フランス語を学んだ後、東京美術学校で教鞭をとります。明治30年、農商務省に入省し2年後にパリ博に派遣され2年間滞欧し、各国の美術工芸を視察して帰朝します。明治42年に京都伏見の深草で陶窯します。大正8年に荒川豊蔵が加わります。黒部川電源開発を提唱した高峰譲吉が、アルミ精錬会社を立ち上げた年です。翌年から黒部川の電源開発が始まります。

豊蔵は、昭和2年に北大路魯山人が主宰する鎌倉星岡窯に移るまで、東山窯で本格的に陶業を修め、大正12年には工場長となります。宇奈月の台地に木管で黒薙から引湯された年です。宇奈月温泉誕生の年で99年前の事です。

蓮始開(はすはじめてひらく)

<蓮の花が開くと清浄な香りに包まれる>

7月12日から七十二侯は「蓮始開(はすはじめてひらく)」で、二十四節気「小暑」の次侯になります。 池の水面に蓮の花が開き始める頃という意味です。

泥を俗世に見立て、泥より出でて泥に染まらぬ優雅で貴賓高き蓮の花は、仏教の悟りの境地に例えられます。加えてその崇高な清らかな花に極楽浄土を見るのです。修行僧のかぶり物は、若い蓮の葉を形取ってあり、未熟者であることを表します。仏教徒にとっては聖なる花です。

蓮が咲く頃は、梅雨明け間近です。豪雨により濁流となっていた黒部川の流れは透明さを戻し、その流量も落ち着いてきました。河鹿蛙の鳴き声は、川風に乗って心地よく聞こえる頃となりました。 峡谷探勝のシーズン到来です。