岩下野(イワシモツケ) バラ科

<岩場を好む花>

岩下野(イワシモツケ)は、宇奈月の高山帯の日当たりのよい岩場に自生するバラ科の落葉低木です。よく分岐して横に広がります。

葉は、厚みがあり1~5cmの長楕円形で、先に鈍鋸歯があり両面は無毛です。霧が明けると葉には多くの水滴が残ります。旭岳から清水岳の登山道沿いの岩場では7月、短い新枝の先に散房花序をつけ、白色の5弁花を多数つけます。

深山苧環(ミヤマオダマキ) キンポウゲ科

<霧に包まれてひっそり咲く>

深山苧環(ミヤマオダマキ)は、宇奈月の高山帯の岩場や岩礫地に自生する、キンポウゲ科の多年草です。

根茎は太く、茎の高さは10~20cmで上部でまばらに分岐します。葉は根出葉と茎葉があり、根出葉は2回3出複葉で3~10枚出ます。小葉は扇形で3裂して裂片はくさび形をなし、縁には丸く大きな鋸歯があります。

茎頂に花径3cmほどの花を1~2個下向きにつけます。外側の鮮紫色の花弁状のものは萼片で5個あり広卵状披針形です。内側の5個の花弁はやや短く長方形で、弁先は黄白色で基部は紫色で長い距があります。

和名は、花の形が紡いだ麻糸を巻いた苧環に似ていることに由来しています。

江戸切子霰紋蓋向

<カットが美しい霰紋>

梅雨が明けると、夏野菜の収穫が本格的なる。雅膳の一皿は、特製の出汁と野菜本来の旨味を生かした夏野菜の含め煮です。

季節のうつわは「江戸切子霰紋蓋向」です。霰紋は、地面に降る霰を図案化したもので、古くから多用された紋です。この他に細かいカット交差の魚子紋、麻の葉図案の糸麻の葉紋、麻の葉紋、さらには矢来紋、雲の巣紋、底菊紋、七宝紋、市松紋、菊繋ぎ紋など様々な紋が作られました。江戸切子の風情と技が現代に継承されています。

岩爪草(イワツメクサ) ナデシコ科

<黒部峡谷・清水岳の頂上付近の岩場に群生する>

岩爪草(イワツメクサ)は、宇奈月の高山の岩場に群生するナデシコ科の多年草です。

茎は直立し、高さ5~20cmなります。葉は細長く密集します。花は白色で5弁花ですが、真ん中に深い切れ込みがあるので花弁が10枚に見えます。ナデシコ科の深山繁縷(ミヤマハコベ)も同様です。

宇奈月の名座「清水岳(標高2603m)」は、白馬岳から黒部峡谷・祖母谷温泉へ至る登山道の途中にある山で、白馬岳の前衛峰に当たります。山頂付近は傾斜がなだらかで高山植物が多く分布します。黒羽川扇状地を眼下に眺めながらの雪渓下りは最高の醍醐味です。