秋から冬場にかけての武鯛(ブダイ)は淡白で甘味があるので、味噌柚庵焼きにします。地酒の肴に合います。富山市岩瀬の満寿泉の純米吟醸がお勧めです。切れのいい純米酒で至福の時です。
季節のうつわは「焼締六寸皿」です。使うほどに味わい深くなるのが焼締の器です。焼締めは釉薬を使用しないので、土そのものの特長が表れ素朴で味わい深い作品になります。登り窯で長時間焼くため薪や藁の灰の付着があります。それが自然釉となり思いがけない景色の器ができることがあります。
仁清色絵楓絵六五皿
朝晩の肌寒さが感じられるようになると、富山湾の旬魚が美味しくなります。キジハタ、アラ、トヤマエビ、ノドグロ等の旬魚のお造りは格別で、地酒が進みます。
季節のうつわは「仁清色絵楓絵六五皿」です。艶やかな色絵は秋の彩を楽しませてくれます。いよいよ奥黒部の山々も紅に色づき始めます。
仁清色絵紅葉六寸皿
秋時雨で、急激に気温が下がると、紅葉の粧いが色濃くなります。 峡谷を流れる水は、ますます透明さを増します。富山湾では身が引き締まった魚が水揚げされます。
割鮮の 極めつけは、延楽特製の「煎り酒」です。 魚の旨みがしっかりと味わえる伝統の刺身ダレです。合わせる酒は羽根屋大吟醸「翼」。ふくよかな含み香をお楽しみください。
季節のうつわは「仁清色絵紅葉六寸皿」です。 露天風呂に浸かりながら、黒部の秋の深まりを静かに味わえるお薦めの時期です。
仁清色絵紅葉絵向付
紅津和井蟹が旨くなってきました。11月7日は本津和井蟹が解禁となります。富山湾の秋の味覚から冬の味覚へと変わり、紅津合蟹に本津合蟹が加わり、ますます味覚が濃厚になります。
季節の器は、「仁清色絵紅葉絵向付」です。色絵の紅葉に紅蟹が映えます。
霎時施(こさめ ときどきふる)
10月28日から七十二侯は「霎時施(こさめときどきふる)」で、二十四節気「霜降」の次侯となります。霎(こさめ)は、小雨ではなく通り雨で時雨(しぐれ)のことです。一雨毎に気温が下がり、冬が近づく頃という意味です。一雨毎に気温が一度下がるので「一雨一度」とはよく言ったものです。
秋晴れの下、黒部川河川敷から上流を望むと初冠雪を戴いた後立山連峰が白く輝いています。富山県と長野県の境をなしている連山です。左から白馬岳(2932m)、旭岳(2867m)、清水岳(2603m)の名座で、さらには五竜岳(2814m)、鹿島槍ヶ岳(2889m)と連なっています。いずれも黒部川を育む名座です。
秋時雨は、冬支度を始める合図で、黒部川の支流ではサクラマスの産卵が始まっています。黒部峡谷鉄道の最終駅である標高600mの欅平付近は、今が紅葉真っ盛りです。黒部峡谷の紅葉前線は、宇奈月温泉へと約10日間かけて降りてきます。山間の出湯を取り囲むは山々は、いよいよ錦繡の時を迎えます。
吊花(ツリバナ) ニシキギ科
吊花(ツリバナ)は、宇奈月の山地の樹林内に生える、ニシキギ科の大形の落葉低木です。
全株無毛で、樹皮は灰色になり、本年枝は丸く細くて緑柴色です。葉は短柄で単葉で対生し、長楕円形で縁には細かい鋸歯があります。
5~6月、葉腋に柄のある集散花序をつけ、十数個の小花をまばらに下垂して開きます。花は淡緑色で5数性です。10月、球形の蒴果は紅色に熟し5裂します。
色絵龍絵向付
<色絵の向付に秋野菜>
黒部の山々が紅に染まる頃、秋野菜が美味しくなります。茸や甘味を含んだ根菜類を優しい出汁で炊きあげます。深まりゆく黒部の秋をお楽しみください。
季節のうつわは「色絵龍絵向付」です。すっきりとした色合いの赤絵は、三浦竹軒の作品です。
洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ) ヤマゴボウ科
洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ)は、宇奈月の路傍の生える、ヤマゴボウ科の大形の多年草で、北米産の帰化植物です。
明治年間に日本に入り、各地に繁殖しています。茎は直立して高さ1~2mとなり、丈夫で分岐し、茎は紅紫色を呈します。葉は互生して、長楕円状披針形で鋸歯はありません。7~9月、柄のある総状花序をだし、白色の小さい花を咲かせます。
10月、花穂は垂れ、果実は葡萄の房状になり、艶のある黒色になります。
蔓苦草(ツルニガクサ) シソ科
蔓苦草(ツルニガクサ)は、宇奈月の山野の林縁などに生えるシソ科の多年草です。
根茎は細長く地中を這います。茎は高さ20~80cmでシソ科特有の四角形で細かい毛があります。葉は対生し、長い柄があり長卵形で先は尖り、基部は細くなり縁には粗い鋸歯があります。
8~10月、上部の葉腋から総状花序を出し、小さな唇形花を多数つけます。
霜始降(しもはじめてふる)
10月23日から二十四節気は「霜降」となります。秋は深まり暖が欲しくなる頃、里山には霜が降ります。「霜降」が過ぎれば立冬となるので、今は秋から冬への変わり目で、これからが黒部峡谷の紅葉が見ごろとなります。大陸からの寒気が入ると気温が急激に下がり、雨が雪に変わって立山連峰、後立山連峰の名座が白く輝くようになります。
七十二侯は「霜始降(しもはじめてふる)」で、二十四節気「霜降」の初侯となります。延楽から対峙する山の稜線は、朝夕の冷気で紅葉が始まり、黒部川支流の弥太蔵谷では、サクラマスの産卵が始まります。
昭和33年10月21日、昭和天皇が延楽で宿泊されたときに詠まれた御製が残されています。
(御製 宇奈月の宿より黒部川を望む)
くれないに 染め始めたる 山あいを
流るる水の 清くもあるかな
侍従 入江相政 謹書
宿の部屋から眺める黒部の山々は色付き始め、峡谷を流れる水はますます清く透明度増してきます。今も昔も変わらぬ黒部峡谷の美しさです。