川緑(カワミドリ)は、黒部川や宇奈月谷の川岸の法面などの湿りがちな草地に生える、シソ科の多年草です。
茎は、シソ科特有の方形で、全体に薄荷に似た強い香気があります。葉は広卵形で、鋸歯があり対生しています。枝の先に10cm前後の花穂を作り、淡紅紫色の花を密に付けます。萼は筒状で花冠は二唇形で、上唇は直立し下唇は開出して3裂します。
宇奈月の山野草
秋の野罌粟(アキノノゲシ) キク科
秋の野罌粟(アキノノゲシ)は、宇奈月の日当たりのよい、至る所に生えるキク科の一年草または越年草です。
茎の高さが、200cmにもなる大形で、茎葉は深く羽裂して互生し、茎を切ると白い乳液が出ます。茎の上部は分岐して円錐花序となり、淡黄色の頭花を上向きに多数開く。総苞は円柱状で瘦果が成熟すると、その下部が膨れてきます。
野紺菊(ノコンギク) キク科
野紺菊(ノコンギク)は、宇奈月の山野や路傍に生えるキク科の多年草で、地下茎を出して増えます。野菊の一種である嫁菜によく似ていて、地方によっては変種もあるので見分けるのが困難です。
茎は、よく分岐して真直ぐ伸びます。葉は長楕円形で互生し、両面に短毛を密生してざらつきます。この点が、ほぼ無毛の嫁菜との違いです。茎の先端の花序はゆるい散房状で、頭花の周辺の舌状花は細長く紫色から淡紫色の野菊です。
御蓼(オンタデ) タデ科
御蓼(オンタデ)は、宇奈月の亜高山帯から高山帯にかけて分布する、タデ科の多年草です。
根茎の各節から芽を出し、中空の太い茎を伸ばし、高さが30~100cmになります。 葉は単葉で互生します。
夏から秋にかけて、上部の葉腋から花穂が伸び、総状花序となり円錐状になります。雌株の果実は、痩果で3個の翼があり、紅色を帯びます。
竜胆(リンドウ) リンドウ科
竜胆(リンドウ)は、宇奈月の山野に生える、リンドウ科の多年草です。
葉は披針形で、葉縁は切れ込みのない滑らかな全縁です。葉の表面には、3条の並行する脈があり裏面は白く対生し、葉柄は無く茎を抱き、先端は尖っています。茎は、やや細く直立または斜上し、切り口は苦みがあります。花は、茎頂か上部の葉腋に、青紫色の筒状をした鐘形の花をつけます。先端は5裂し上向きに付きます。
和名の由来は、熊胆よりもさらに苦いので竜胆と名づけられました。竜胆の全草は苦く、特に根は苦く薬用とし用いられています。源氏の家紋として知られる笹竜胆は、竜胆の花を図案化したものです。
大虎杖(オオイタドリ) タデ科
大虎杖(オオイタドリ)は、宇奈月の亜高山の草地に生える、タデ科の大型の雌雄異株の多年草です。
地中に根茎が長く伸び、木質化し、各節から芽を出し、中空の太い茎を、大きく伸ばします。葉は広卵形で先は細く尖り、基部は浅い心形で互生します。
夏から秋にかけて、上部の葉腋から花穂が伸び、複数状に白色の小花を付け、花弁がなくて萼片があります。春先の芽は、山菜として食されます。
亜米利加栴檀草(アメリカセンダングサ) キク科
亜米利加栴檀草(アメリカセンダングサ)は、北アメリカ原産の帰化植物で、宇奈月の道端や荒れ地などに生えるキク科の1年草です。
茎は、高さが50~150cmになり、四角柱で暗紫色でほとんど毛がありません。葉は対生し無毛で、3~5個の小葉に分かれ鋸歯があり先が尖ります。
9~10月、茎頂に黄色の頭花を付け、舌状花は小さくあまり目立ちません。長い総苞片は6~12個あり葉のように大きく目立ちます。苞とは蕾を包むように葉が変形した部分のことで、キク科の特徴でもあります。
溝蕎麦(ミゾソバ) タデ科
溝蕎麦(ミゾソバ)は、宇奈月の山路や谷間などの湿地に自生するタデ科の一年草です。 宇奈月のスキー場で、群落を形成します。
茎の高さは、40~70cmでまばらに分岐して、下向きの棘があります。葉は互生し、鉾型で毛がまばらに生えます。 花は枝先に花穂を出し10個ほどの米粒のような形の小花を集めて付けます。 萼は5裂し淡紅色、白色などの色があり花弁がありません。
和名は、花と葉の形が蕎麦に似て、溝などの湿った所に群生することに由来します。ミゾソバの群生は、秋の深まりを感じさせてくれます。
胡麻菜(ゴマナ) キク科
胡麻菜(ゴマナ)は、宇奈月の山地の道端や林縁などに生えるキク科の多年草です。
葉は、両面に短毛のある長楕円形で互生し裏面には腺点があります。 9~10月にかけ茎頂に小さな白い頭花を散房状に密に付けます。 茎の高さは1.5mにも達する野菊なのでよく目立ちます。
和名は、葉の形が胡麻の葉に似ていることに由来します。 若菜は香りが楽しめ、おひたしや天婦羅として食すことができます。沢山の花をつけた胡麻菜が咲き並ぶ山路は、秋の風物詩となります。
穂躑躅(ホツツジ) ツツジ科
穂躑躅(ホツツジ)は、宇奈月の山に生えるツツジ科の落葉低木です。 枝を束ねて箒を作るとこから山箒とも言います。
葉は楕円形で互生し先はやや鋭頭形です。 花は9月ごろから新枝の先に円錐花序を付けるところから、和名の由来となっています。 花序は直立し、淡紅色の小花を横向きに多数開かせます。 花弁は線形で3枚から4枚が反り返って丸まり、雄しべが長くまっすぐに伸びるのが特徴です。
全草にグラヤノトキシンという有毒成分が含まれます。 黒部峡谷の岩場を真っ赤に彩めるのがホツツジです。 宇奈月温泉周辺の紅葉の見頃は、11月7日前後です。