祥瑞橘文向付

<吉祥文様>

雅膳二泊目の千代口は、白海老と唐墨です。白海老は醤油だと塩分が強くなるので、旨味だしを使います。ほど良い旨味と柔らかな塩分の出汁は、白海老の繊細な甘みを引き出してくれます。

季節のうつわは「祥瑞橘文向付」です。橘は常緑樹で葉は年中元気よく生い茂ることから、長寿や子孫繁栄の願いを意味する吉祥文様となります。

乾山写色絵瓔珞紋角向付

<地鱒の握り>

葉桜が映える頃、富山湾から地鱒(桜鱒)が遡上します。地元では桜鱒を地鱒と言って大事に取り扱っています。地鱒は、黒部川を遡上し宇奈月周辺に達すると、深い淵に潜んだり支流へと遡上したりします。山々が錦繍に輝く頃、支流で産卵します。

延楽・雅膳の滞在の一皿は、地鱒の握りです。 季節のうつわは「乾山写色絵瓔珞紋角向付」です。

色絵丸紋胴紐小鉢

<鮮やかな赤丸>

小鉢は染付、古染付、祥瑞が多く使われますが、滞在のお客様には鮮やかな色絵の小鉢を使って雰囲気を変えます。その華やかさで料理が映え、連泊の楽しみが増えます。

季節のうつわは「色絵丸紋胴紐小鉢」です。色絵磁器は、陶磁器の釉面に上絵付した加飾磁器で、赤絵、錦手、五彩、十錦手、粉彩、豆釉、染錦手などを総称するものです。色絵磁器では色絵の呈色を良好に保つために、白磁素地が純白であることが追及されました。

九谷赤絵金彩七賢人平皿

<繊細で緻密な書き込みが特徴の九谷赤絵金彩>

富山湾から水揚げされる春の旬魚は、種類が豊富です。今が旬の白海老、富山海老、ホタルイカ、アオリイカ、ヒラメ、ヒラマサ。そのほか細魚、メバル、ブダイ、白海老、のど黒等々。新鮮なお造りは、延楽特別醸造の醤油と煎り酒でお召し上がりください。

季節の器は、「九谷赤絵金彩七賢人平皿」です。九谷赤絵は、弁柄と呼ばれる鉄分を含む赤い顔料を使い、金襴を施して仕上げます。繊細で緻密な書き込みが特徴です。明治初期に欧米への輸出用に制作されました。円中組の円中孫平やパリ在住の林忠正が活躍した時代です。

見返花筏蒔絵吸物椀

<朝獲れのはまぐり>

宇奈月の桜の開花は、県内では遅い方です。黒部の山から吹き下ろす風は、冷を含んでいます。山に片栗が咲く頃に、桜の開花が始まり、富山湾の貝類も美味しくなります。

季節の器は、「見返花筏蒔絵吸物椀」です。お椀の見返りは春です。

古伊万里金襴手蘭人文蓋付碗

<蘭人文は皿などにもみられる>

雅膳の一皿は、春の香りの若竹煮です。富山県内産の柔らかな若竹と若芽との煮物です。宇奈月の山では山菜も芽吹きました。タラの芽、蕗、こごみなどが、春の香りを届けてくれます。

季節のうつわは「古伊万里金襴手蘭人文蓋付碗」です。金襴手とは色絵陶磁器に金彩を焼き付ける装飾法で、中国北宋時代の11世紀に定窯で始められました。その後、明時代の嘉靖年間になって、景徳鎮民窯で絢爛たる金襴手を完成させました。その作風により、色絵金襴手、赤地金襴手、萌黄金襴手、白地金襴手、瑠璃地金襴手、三彩地金襴手に分類されます。わが国では、元禄年間(1688-1704)に伊万里焼が景徳鎮窯の金襴手を手本にして、金泥を色絵素地に焼き付ける意匠を開発しました。

染付祥瑞小鉢

<白海老と唐墨>

宇奈月温泉周辺の桜が開花すると、富山湾の白海老漁も活気づいてきます。大量に獲れるのは、富山湾奥部に位置する小矢部・庄川海谷、富山市岩瀬沖の神通海谷および水橋沖の常願寺海谷の3カ所だけです。海谷とは海底の峡谷のことで、小型底引き網でその壁を掻き上げるように操業します。白海老と唐墨は小鉢が合います。雅膳の一皿です。合わせるお酒は、桝田酒造の満寿泉大吟醸です。

季節のうつわは「染付祥瑞小鉢」で永楽妙全の作品です。落ち着いた呉須の色合いは、白海老と唐墨を引き立ててくれます。

金彩獅子丸紋向付

<独特な色彩センス>

雅膳の一皿は、強肴で白海老と唐墨です。繊細な白海老は、特製の出汁で召し上がっていただきます。合わせる地酒は清都酒造の「勝駒純米吟醸」です。

季節の器は「金彩獅子丸紋向付」です。永楽妙全の作品です。繊細な純白の白海老が映えます。妙全ならではの優しい色彩は、料理を引き立ててくれます。

染付蕎麦猪口

<味わいのある蕎麦猪口>

富山湾の春の味覚といえばホタルイカと白海老です。ホタルイカは連日豊漁で市場が賑わっています。釜揚げにするとたっぷりの内臓で、大きく膨らみます。お酒のあてに酢味噌でいただきます。地酒、純米吟醸「林」が合います。

季節のうつわは「染付蕎麦猪口」で、永楽保全の作品です。いい色合いの染付で小鉢替わりに使います。

輪島塗・青貝千鳥波蒔絵銘々皿

<青貝の輝きが美しい螺鈿>

才巻海老が旬を迎えます。才巻海老とは、車海老の小型のもので、味が濃くて天麩羅に最適です。

季節のうつわは「輪島塗・青貝千鳥波蒔絵銘々皿」で、 螺鈿(らでん)の光沢が美しい。

使用される貝は、夜光貝、白蝶貝、黒蝶貝、川真珠貝(青貝)、鮑、阿古屋貝(真珠貝)などがあります。