緑彩八ツ橋向付

<春の彩と香り>

雅膳の一皿は、氷見牛の炙りです。柔らかくて旨味のある氷見牛は、宇奈月ビールと合います。宇奈月周辺の山野には山菜が芽吹いています。山菜の柔らかな新芽と、爽やかな苦みを併せてお楽しみください。

季節のうつわは、「緑彩八ツ橋向付」です。萌黄色の緑彩は、新緑の黒部の山々を表しています。黒部峡谷鉄道で新緑と残雪の山々の景色がご覧いただけます。

高麗色絵八ツ橋蓋向

<のどぐろと春野菜の炊合>

富山湾の生地沖で獲れるのど黒は、形が大きくて脂がのっているので人気があります。 刺し網で丁寧に水揚げするので味は格別です。のど黒と春野菜の焚合せは 「延楽・のど黒会席」の一品です。

季節のうつわは「高麗色絵八つ橋蓋向」です。菖蒲が金彩の縁取りで、華麗に描かれています。明治初期にアメリカ人のフェノロサーやビゲロー等を魅了してやまなかった京焼です。

渕赤七宝紋皿

<山菜とホタルイカの天婦羅>

宇奈月の野山は、山菜取りの季節になりました。残雪が融けだすとワラビやウド、コゴミゼンマイ、タラノメ、ススタケ、ウルイなどが現れます。山菜の苦みは、油で揚げることによって食べやすくなります。ホタルイカのワタは油で揚げると格別のうまみが出ます。春の香りを天婦羅でお楽しみください。

季節の器は、「渕赤七宝紋皿」です。白磁に赤の彩色が映えます。

祥瑞橘文向付

<吉祥文様>

雅膳二泊目の千代口は、白海老と唐墨です。白海老は醤油だと塩分が強くなるので、旨味だしを使います。ほど良い旨味と柔らかな塩分の出汁は、白海老の繊細な甘みを引き出してくれます。

季節のうつわは「祥瑞橘文向付」です。橘は常緑樹で葉は年中元気よく生い茂ることから、長寿や子孫繁栄の願いを意味する吉祥文様となります。

乾山写色絵瓔珞紋角向付

<地鱒の握り>

葉桜が映える頃、富山湾から地鱒(桜鱒)が遡上します。地元では桜鱒を地鱒と言って大事に取り扱っています。地鱒は、黒部川を遡上し宇奈月周辺に達すると、深い淵に潜んだり支流へと遡上したりします。山々が錦繍に輝く頃、支流で産卵します。

延楽・雅膳の一皿は、地鱒の握りです。 季節の器は「乾山写色絵瓔珞紋角向付」です。

九谷赤絵金彩七賢人平皿

<繊細で緻密な書き込みが特徴の九谷赤絵金彩>

富山湾から水揚げされる春の旬魚は、種類が豊富です。今が旬の白海老、富山海老、ホタルイカ、アオリイカ、ヒラメ、ヒラマサ。そのほか細魚、メバル、ブダイ、白海老、のど黒等々。新鮮なお造りは、延楽特別醸造の醤油と煎り酒でお召し上がりください。

季節の器は、「九谷赤絵金彩七賢人平皿」です。九谷赤絵は、弁柄と呼ばれる鉄分を含む赤い顔料を使い、金襴を施して仕上げます。繊細で緻密な書き込みが特徴です。明治初期に欧米への輸出用に制作されました。円中組の円中孫平やパリ在住の林忠正が活躍した時代です。

色絵丸紋胴紐小鉢

<鮮やかな赤丸>

小鉢は染付、古染付、祥瑞が多く使われますが、滞在のお客様には鮮やかな色絵の小鉢を使って雰囲気を変えます。その華やかさで料理が映え、連泊の楽しみが増えます。

雅膳の一皿は「色絵丸紋胴紐小鉢」です。色絵磁器は、陶磁器の釉面に上絵付した加飾磁器で、赤絵、錦手、五彩、十錦手、粉彩、豆釉、染錦手などを総称するものです。色絵磁器では色絵の呈色を良好に保つために、白磁素地が純白であることが追及されました。

見返花筏蒔絵吸物椀

<朝獲れのはまぐり>

宇奈月の桜の開花は、県内では遅い方です。黒部の山から吹き下ろす風は、冷を含んでいます。山に片栗が咲く頃に、桜の開花が始まり、富山湾の貝類も美味しくなります。

季節の器は、「見返花筏蒔絵吸物椀」です。お椀の見返りは春です。

古伊万里金襴手蘭人文蓋付碗

<蘭人文は皿などにもみられる>

雅膳の一皿は、春の香りの若竹煮です。富山県内産の柔らかな若竹と若芽との煮物です。宇奈月の山では山菜も芽吹きました。タラの芽、蕗、こごみなどが、春の香りを届けてくれます。

季節の器は、「古伊万里金襴手蘭人文蓋付碗」です。金襴手とは色絵陶磁器に金彩を焼き付ける装飾法で、中国北宋時代の11世紀に定窯で始められました。その後、明時代の嘉靖年間になって、景徳鎮民窯で絢爛たる金襴手を完成させました。その作風により、色絵金襴手、赤地金襴手、萌黄金襴手、白地金襴手、瑠璃地金襴手、三彩地金襴手に分類されます。わが国では、元禄年間(1688-1704)に伊万里焼が景徳鎮窯の金襴手を手本にして、金泥を色絵素地に焼き付ける意匠を開発しました。

染付祥瑞小鉢

<白海老と唐墨>

宇奈月温泉周辺の桜が開花すると、富山湾の白海老漁も活気づいてきます。大量に獲れるのは、富山湾奥部に位置する小矢部・庄川海谷、富山市岩瀬沖の神通海谷および水橋沖の常願寺海谷の3カ所だけです。海谷とは海底の峡谷のことで、小型底引き網でその壁を掻き上げるように操業します。白海老と唐墨は小鉢が合います。雅膳の一皿です。合わせるお酒は、桝田酒造の満寿泉大吟醸です。

季節のうつわは「染付祥瑞小鉢」で永楽妙全の作品です。落ち着いた呉須の色合いは、白海老と唐墨を引き立ててくれます。