姫青木(ヒメアオキ) ガリア科

<秋には赤く熟した実をつける>

姫青木(ヒメアオキ)は、宇奈月の山地の雑木林内に自生する、ガリア科の常緑低木です。青木の日本海側多雪地帯の変種で、一回り小さいです。

高さは、1mほどで幹は積雪に押され横ばいし、葉がつく部分で斜めに立ち上がります。葉は長楕円形で、葉の縁に粗い鋸歯があります。雌雄異株で、花期は3月から4月にかけて目立たない、小さな褐色の花をつけます。果実は卵型で、秋に赤く熟し翌年の開花のころまでついています。

錦手獅子見込八角中皿

<古伊万里の中皿に、蛍烏賊と白海老の造り>

富山湾の春の風物詩は、蛍烏賊と白海老です。桜の花が咲く頃に旬を迎えます。今年の富山県内の開花は、例年より10日ほど早くなり、富山市内では終わりを迎え、宇奈月周辺はこれから満開となります。雅膳の一皿です。

季節の器は「錦手獅子見込八角中皿」で、古伊万里です。錦手とは赤、緑、黄、紫、青などの上絵具を施した陶磁器のことです。五彩、色絵、赤絵などとほぼ同義で、古伊万里などに多く用いられる呼称です。

玄鳥至(つばめきたる)

<黒部川扇状地から望む白馬連山>

4月4日から二十四節気は「清明」に入ります。清明とは「清浄明潔」の略で「万物発して清浄明潔なればこの芽は何れの草としれる也」と江戸時代に出版された暦の解説書「暦便覧」に記述されています。まさに万物がすがすがしく明るく輝くころとなります。

七十二侯は「玄鳥至(つばめきたる)」で二十四節気「清明」の初侯。幻鳥とは燕の事で、燕が南の国からやって来る頃と言う意味です。まもなく宇奈月では岩燕の飛行が見られます。岩燕は小型で、尾羽の切り込みが浅く英名が「House Martin」、燕は大型で尾羽の切込みが深く「Barn Swallow」でマーチンとスワロウです。日本には繁殖のために飛来し、宇奈月では温泉街から山地にかけて集団で営巣します。

黒部川扇状地から後立山連峰を望むと雪を纏った名峰が神々しく輝いています。今年は大陸からの黄砂の飛来が激しく、久しぶりの青空です。正面奥の名座は白馬岳(2932m)、隣が旭岳(2867m)と清水岳(2603m)。これからは北アルプスを背景に、桜とチューリップが加わる彩り豊かな季節となります。清明ならではの情景です。

猩猩袴(ショウジョウバカマ) ユリ科

<長い葉を袴に見立てた猩々袴>

猩猩袴(ショウジョウバカマ)は、宇奈月の落葉樹林内の湿り気の多い斜面や湿原に生えるユリ科の常緑多年草です。宇奈月の亜高山の湿地帯ではやや小ぶりのものを見ることができます。

花は、花茎の上方に半開で淡紅色の六弁花を複数付けます。葉は倒披針形で根茎上にロゼット状につきます。

猩猩とは頭の毛が赤く猿のような顔をした中国の伝説上の動物です。和名は、赤い花を猩猩に見立て、ロゼット状に広がる長い葉を袴に見立てて付けられました。まさに宇奈月の早春賦です。

紅葉苺(モミジイチゴ) バラ科

<棘が多い紅葉苺>

紅葉苺(モミジイチゴ)は、宇奈月の野山に野生する、バラ科の落葉低木です。葉が掌状に五裂し、紅葉のように切れ込むのでこの名がつけられました。

低木はよく分岐し、根は横に伸びて茎を立てます。茎には毛はないが棘が多くあります。4月に前年枝の各葉腋から下部に葉をつけた花径を出して、白色で5弁の花一輪を下向けにつけます。果実も垂れ下がり熟すと黄色くなり、美味です。

瑠璃硝子小鉢

<白海老(シラエビ)のお造り>

4月1日に白海老漁が解禁となりました。体長7~8cmの透明で淡紅色の小さな海老は、富山湾の宝石とも呼ばれています。地元ではシロエビ、ヒラタエビ、鼈甲海老と呼んでいます。正式にはシラエビといいます。

主な生息地は、富山湾の奥部に位置する新湊市の小矢部・庄川海谷、富山市岩瀬沖の神通海谷、水橋沖の常願寺海谷の3カ所だけです。海谷とは、海底の峡谷で、海底の湧水によってできたという諸説もあります。海谷で真水が湧き出している一帯です。

料理方法は、お造り、昆布締め、唐揚げ、かき揚げ等があり、その他にそうめんの出汁にも使われます。 今回のおすすめはお造りです。

季節の器は「瑠璃硝子小鉢」です。

深山黄華鬘(ミヤマキケマン) ケシ科

<林道沿いに咲く深山黄華鬘>

深山黄華鬘(ミヤマキケマン)は、宇奈月の山の林縁や林道沿いに一般的に見られるケシ科の越年草で、アルカロイド類を含む有毒植物です。

茎は株から叢生し、全体無毛で多汁質です。葉は柔らかく2回羽状に細裂します。花は長さ4~10cm程の総状花序にやや密につきます。黄色の花は、横に長い筒形で先が唇状に少し開き、一方向を向き横向きに咲きます。 果実は線形で数珠状にくびれます。

華鬘とは仏殿の内陣を飾る荘厳具です。それを飾るため金箔で装飾された花々が吊るされています。その様相から命名されています。赤紫の紫華鬘(ムラサキケマン)は、時期を遅らせて咲き始めます 。

深山寒菅(ミヤマカンスゲ) カヤツリグサ科

<林の斜面に多く見られる>

深山寒菅(ミヤマカンスゲ)は、宇奈月の山地の樹林内に生えるカヤツリグサ科の多年草です。根茎はやや伸長して叢生します。 宇奈月のような多雪地では、伸長した根茎が数年分残り放射線状に株が繋がります。

葉の基部の葉鞘は、紫褐色で光沢があります。葉は幅5ミリ前後の線形で、やや柔らかく光沢のある濃緑色で縁はわずかにざらつきます。開花時期は4月から6月ごろ、小穂を直立させて上部に雄花を沢山つけます。

仁清色絵雪月花七寸皿

<鮑香煎揚>

鮑の美味しい季節になりました。お薦めは鮑香煎揚です。雅膳の一皿です。柔らか煮とは一味違う旨味が味わえます。今が旬のアスパラの素揚げを添えて、お召し上がりください。

季節の器は、「仁清色絵雪月花七寸皿」です。金彩で雪輪、赤絵で桜、皿全体を月に見立て縁に金彩の雲をかけてあります。気品のある落ち着いた七寸皿です。