山荷葉(サンカヨウ) メギ科

<爽やかな香りがする山荷葉>

山荷葉(サンカヨウ)は、宇奈月の深山の雪解けの沢の斜面に白根葵(シラネアオイ)などと一緒に自生するメギ科の多年草です。

2枚の大きな葉が特徴で、茎の中ほどにから上につき、広腎臓形で2深裂し下面に毛があります。花は散房花序に6弁の白い花を数個つけ、水に濡れると半透明になります。開花するとすがすがしい香りがして、秋には濃い青紫色の実をつけます。

染付芙蓉手

<千枚鮑>

雅膳の強肴は、酢の物で千枚鮑(土佐酢)です。酒蒸しの鮑を薄く引いたものです。鮑の旨味を生かすため酢は控えめにしてあります。

季節のうつわは「染付芙蓉手」です。芙蓉手とは、明の万暦年間に景徳鎮民窯で焼かれた染付磁器の様式です。見込みの構図取りは、中央に円窓を大きく設け、その周囲を細かく蓮弁文様を繋いで巡らせるもので、その構成が大輪の花房を連想させることから日本でつけられた呼称です。

岩絡(イワガラミ) ユキノシタ科

<山路の壁面に広がる岩絡>

岩絡(イワガラミ)は、宇奈月の山地に普通にあるユキノシタ科の落葉藤本です。幹から多数の気根を出して、樹木や岩などに絡みついて成長します。

葉は対生し赤みのある長柄があり、葉身は長さ5cmから10cmの広卵形で先は細く尖り縁には荒いやや不規則な鋸歯があります。花は、5月から7月にかけて新枝の先に集散花序を形成し、5弁の白く小さい両性花を多数開かせます。周囲には数個の装飾花があり、白く大きい萼片が1個、花弁状につきます。

蔓紫陽花(ツルアジサイ)は、生態的にも形態的にもよく似ていますが、萼片が4個つくので区別がつきます。大樹に絡みつく様は、樹木全体に白い花が咲いたようで華やかになります。

菖蒲華(あやめはなさく)

<「田渕俊夫:放水」とカッシーナ・キャブチェアー>

6月26日から七十二侯は「菖蒲華(あやめはなさく)」で、二十四節気「夏至」の次侯となります。 菖蒲の花が咲く頃という意味です。 菖蒲は、「あやめ」とも「しょうぶ」とも読めて、梅雨の到来を告げる花として親しまれています。判別方法は、 外花被のつけ根にある網目模様はあやめ、黄色の目型模様は花菖蒲、白色の目型模様は杜若です。

宇奈月公園の花菖蒲は、6月の初めに沢沿いで開花し今は結実となっています。冷たい清水が流れる沢には源氏蛍が乱舞します。月末には各神社では「夏越の大祓」が行われ、茅の輪をくぐって半年間の穢れを祓います。

立山黒部アルペンルートの黒部ダムは、6月26日から夏の行楽シーズンの到来を告げる観光放水が始まります。ダムは、河床からの高さが高さ186mと日本一の壁面を誇るアーチ式キダムで、二箇所の放水口から毎秒7.5トンずつ合計15トンが放水されます。山が色付く10月15日まで毎日実施されます。 豪音と共に噴出する水しぶきで、くっきりとした虹が架かります。

黒部峡谷・セレネ美術館では、田渕俊夫画伯の黒部ダムの放水を捉えた院展出品作品「放水」が展示されています。人間が大自然に挑んで造り上げたダムです。そこから放出される水のエネルギーを巧みにとらえた名品です。   

蝦夷立傍食(エゾタチカタバミ) カタバミ科

<葉はクローバと似る>

蝦夷立傍食(エゾタチカタバミ)は、宇奈月の山道沿いの草叢に生える、カタバミ科の多年草です。

茎は細く直立して高さ10~30cmになります。葉は長柄の先に倒心形の小葉が3個付き、全草にシュウ酸が含まれているので、酸味があります。葉腋から伸びる花茎に黄色の5弁花を1~2個付けます。

和名は、夜に葉を半分たたんで閉じることに由来します。

手吹渦文硝子尺皿

<夏が旬の岩牡蠣>

富山湾の夏の風物詩、岩牡蠣が獲れだしました。水中にもぐって1個づつ取ります。雅膳の一皿は、岩牡蠣です。ポン酢で召し上がっていただきます。生が苦手な方は、焼きか蒸しにします。合わせる地酒は、「満寿泉・純米大吟醸」です。しっかりとした味わいの大吟醸です。

季節の器は、「手吹渦文硝子尺皿」です。吹きガラスで、手吹きで形を整えます。白い渦文が良く出ています。

姫風露(ヒメフウロ) フウロウ科

<葉の端が赤みを帯びる>

姫風露(ヒメフウロ)は、宇奈月の宇奈月谷遊歩道沿いに生えるフウロ科の越年草で、北米からの帰化植物です。

茎の高さは30cm程で、葉は対生し3~5深裂し、小葉はさらに羽状に深裂します。葉腋から長い花序を伸ばして淡紅色の花を1~2個付けます。花は5個の花弁で、それぞれの花弁には2本の筋があります。結実期に入った全草は赤みを帯びます。群生していることが多いので、緑化には適しています。

車花(クルマバナ) シソ科

<小さくて目立たないが、花冠の模様が美しい>

車花は、宇奈月の山野の草地に生える、シソ科の小さな多年草です。

葉は対生し、狭卵型で鋸歯があり基部には短い二枚の葉柄があります。茎は、シソ科特有の箱型で直立し、枝先に断続的に輪生する花穂を作って、淡紅色の唇花形をつけます。

蕚も紅紫色を帯びることが多く、開出毛という茎に直角に伸びる細い毛が多くあります。花冠は筒状で、開口部は2裂し、下唇は3裂しています。雄しべは4本あり上唇側の2本だけが長くなっています。

衝羽根空木(ツクバネウツギ) スイカズラ科

<清楚な純白の花>

衝羽根空木(ツクバネウツギ)は、宇奈月の落葉樹林の中に見られるスイカズラ科の落葉低木でよく分岐します。

6月ごろ、新梢の先に黄白色で筒状鐘型の花を2個付けます。目立たない初夏を告げる花ですが、内部には橙色の網目の模様があり、その純白さは清楚な雰囲気を漂わせています。

葉は、卵状楕円形で対生します。箆形で5個の額は、花が終わった後も果実の下に残って衝羽根の形になり、樹枝が空木に似ているところから和名がつけられました。

乃東枯(なつかれくさかるる) 

<少なくなりつつある靭草(ウツボグサ)>

6月21日から二十四節気は、1年で一番日が長い「夏至」に入ります。冬至に比べると昼の長さが約5時間も長くなり、夜がその分短くなります。平安時代の女人たちは、短夜の逢瀬の切なさを歌に詠んでいます。これから盛夏に向けて日に日に暑さが増し、正午の影が1年で最も短くなります。梅雨のまっただ中なので雨の日がしばらく続き、雨に濡れる花菖蒲が艶やかになる時期です。

七十二侯は、「乃草枯(なつかれくさかるる)」で「夏至」の初侯にあたります。乃東(なつかれくさ)とは、漢方薬に用いられる夏枯草(カコソウ)の古名で、宇奈月の草地に生えるシソ科の靫草(ウツボグサ)のことです。

花穗だけが枯れて黒ずんだ色になるので、夏枯草の名の由来となっています。半年前は「冬至」の初侯で「乃東生(なつかれくさしょうず)」で、夏枯草が生まれ半年たつと枯れていきます。昔も今も季節は正確に巡っています。