水沢腹堅(さわみず、こおりつめる)

<冷たさを増す黒部川>

1月25日から七十二侯は、「水沢腹堅(さわみず、こおりつめる)」で二十四節気、大寒の次侯。沢に氷が厚く張りつめるほど寒い頃と言う意味。

水はいよいよ冷たさを増し、1年の内で最も寒い時期となる。この頃は大陸からの強い寒気が入りやすく記録的な大雪や最低気温をもたらすのだが、今年は寒気が長続きしない。

寒の内に汲んだ水は「寒の水」と呼ばれ細菌少なくいのでお酒を仕込むのには最適である。寒仕込みの酒はきめ細やかですっきりとした味わいに仕上がる。大吟醸はこの時期を選んで仕込まれ3か月を経て出荷される。日本酒の仕込みが最盛期を迎える時期である。

款冬華(ふきのはな さく)

<蕗の薹>

1月20日から二十四節気は「大寒」に入る。

冬の最後の節気で寒さは一段と厳しくなる。冬至を過ぎてから太陽の光は少しずつ力強さを増してくるとはいうものの、宇奈月ではこれから寒気が停滞する。

七十二侯は「款冬華(ふきのはな さく)」で二十四節気「大寒」の初侯。款冬(カントウ)とは蕗のことで、今年は積雪が例年より少なく黒部川扇状地の土手では、蕗の薹が顔を出す。雪の下の蕗の薹は苦みが柔らかく、天婦羅やふき味噌で早春の香りを味わう。

一方、富山の海では雌の香箱蟹が資源保護のため1月20日から禁漁となる。雄のズワイ蟹漁はこれから最盛期を迎える。富山湾は、浅瀬から深海に至るまで多種多様な魚が生息するので天然の生簀と呼ばれ、豊富な旬魚を提供してくれる恵の海である。

雉始雊(きじ はじめてなく)

<宇奈月温泉の左義長>

1月15日から七十二侯は、「雉始雊(きじ はじめてなく)」で二十四節気「小寒」の末侯。雉子の求愛が始まる頃という意味。

雉の雄は雌を呼び込むために甲高い声で鳴きます。宇奈月温泉周辺はこれから雪の日が続くが、雪の少ない下流の黒部川扇状地では雉の求愛行動が活発化する。今日は松の内の終わりの日。松の内が終わるのは地域によって異なるが、延楽は1月15日。正月飾りを取り外して左義長の日まで大切に保管する。

2月2日は宇奈月温泉雪カーニバルが行われ、花火の点火に先駆けて宇奈月公園で左義長が行われる。炎が勢いよく空に舞い上がり、歳神様もその炎に乗って天に帰るとされる。竹の炸裂音からどんど焼きとも言う。

水泉動(しみず あたたかをふくむ)

<水鳥が飛来する黒部川>

1月10日から七十二侯は、「水泉動(しみず あたたかをふくむ)」で、二十四節気「小寒」の次侯。

地中で凍った泉が溶けて動きだす頃と言う意味。元となった中国の宣明暦では「鵲始巣」で、鵲(かささぎ)が巣を作り始める頃という意味。宣明暦は平安時代初期に中国から輸入された暦で、唐の徐昴によって作られた。その後、江戸時代に大統歴、貞享歴と変わり、宝暦4年(1754年)、渋川春海によって日本初の宝暦歴に改められた。併せて七十二候も日本の気候風土に合うように改定された。

11日は鏡開き。鏡餅の割れが多いとその年は豊作になると言われる。小寒に入ると雪の降る日が続くのだが今年は穏やかな日が続く。部屋から眺める黒部川では水鳥が水の流れに乗って移動していくのが見える。本格的な寒さこれからである。

芹乃榮(せり、すなわちさかう)

<小寒の雪景色>

1月6日から二十四節気は「小寒」に入る。この日から節分までを「寒の内」。節分の翌日は立春で「寒の明け」迎える。

それまでは厳しい寒さが続き、「小寒の氷、大寒に解く」と言う故事があるほど寒さは一層厳しくなる。

地元の酒造会社では新酒の仕込みが最盛期を迎える。杜氏や蔵人が朝早くから作業に精を出す。

七十二侯は、「芹乃榮(せり、すなわちさかう)」で二十四節気「小寒」の初侯。

厳しい寒さが続くが田んぼや水辺では、芹が生え始める頃という意味。芹は春の七草の一つで、正月7日に七草粥を食べると一年の邪気を祓うとされる。

6日は黒部市消防団の出初式。早朝より消防訓練のサイレンが山間の温泉街に響く。本年は自然災害のない平穏な年でありたい。

雪下出麦(ゆきわたりて、むぎのびる)

<正月の室礼>

1月1日から七十二侯は「雪下出麦(ゆきわたりて、むぎのびる)」で二十四節気「冬至」の末侯にあたる。

降り積もった雪の下で麦が芽を出し始める頃という意味。

延楽ロビーの正月飾りは、地酒の菰樽に鏡餅を飾りその上に伊勢海老を頂くという創業時からの形である。

歳神様をお迎えする際の目印となる特大の門松も飾り付ける。

新春延楽ギャラリーは、延楽ゆかりの作家の作品を展示。

横山大観「旭日」、安田靫彦「白梅」、中川一政「良寛手毬図」。

これからも受け継がれる旅館のお正月の室礼の一コマである。

麋角解(さわしかのつのおつる)

<門松の飾り付け>

12月26日から七十二侯は「麋角解(さわしかのつのおつる)」で二十四節気「冬至」の次侯にあたる。

牡鹿は、繁殖期が過ぎると角が根元から抜け落ち春になると新しい角が生え代わる。

麋(さわしか)の角が抜ける頃という意味。七十二侯は中国から入ってきたので麋(さわしか)とは、かつて中国に生息していた麋鹿(びろく)とも言われている。

今年もあとわずか。

例年よりも雪が少ない。

暮れになりやっと大陸からの寒気団が日本列島を包み込んで、冬型の気圧配置となる。

旅館は新年に向けての準備であわただしくなる。

今日玄関に早々と門松を立てる。

今年は、自然災害の多い年でした。

来る年は穏やかな年でありますように。

乃東生(なつかれくさ しょうず)

<宇奈月温泉スキー場開き>

12月22日から二十四節気は冬至に入る。

1年で最も昼が短い日。「冬至、冬中冬初め」といわれるように冬至は、冬の真ん中で真冬の始まりでもあり、この日を境に太陽が復活を始める。

故に冬至を「一陽来復」といい、物事が良い方向に向かうとされる。

七十二侯は「乃東生(なつかれくさしょうず)」で二十四節気「冬至」の初侯にあたる。

乃東(なつかれくさ)は冬に芽を出して夏に枯れる夏枯草(かごそう)のことで、この芽がでる頃という意味。

夏枯草(かごそう)は、宇奈月の山野に自生するシソ科の多年草の靫草(うつぼぐさ)。

花は紫色の小花で、直立した茎の先端の密な円柱状の花穂につく。

この枯れた花穂が夏枯草で、古くから漢方薬として用いられる。

冬至の初侯「乃東生(なつかれくさしょうず)」は、夏至の初侯「乃東枯(なつかれくさかるる)」と対になっている。

12月23日は宇奈月温泉スキー場開き。

昨年は山の斜面は雪に覆われ、パウダースノーの最高の滑走面であった。

今年は雪が無く年末の寒気団に期待するところである。

宇奈月の山路では乃東(なつかれくさ)の芽が出ようとしている。

鱖魚群(さけのうお むらがる)

<雪解け水の多い春の愛本堰堤>

現在の愛本堰堤は、昭和44年に流されて同48年に築造され、新たに魚道が設けられた。

黒部川は急流河川で流出土砂も多く、その土砂で魚道が度々埋まり今年も機能しなかった。

故に今年も宇奈月温泉の周辺で鮭の遡上が見ることができなかった。ところが桜鱒は年々数が減少しているものの、支流で確認できる。

桜鱒は最上の鱒ずしに使用される鱒である。桜鱒は春に海から遡上する。春の黒部川は雪解けで水が増水し、急流となって川幅一杯に流れる。

堰堤が隠れるほどの大量の水で遡上が可能になる。

桜鱒は、夏の期間は深い淵に潜み、山の木々が色づく10月下旬から11月中旬にかけて産卵する。

孵化した稚魚は降海型と河川残留型に分かれ、降海型は3年かけて桜鱒となって黒部川に帰ってくる。

河川残留型は山女魚となる。

黒部川ではその稚魚を守るため2月の末まで禁漁となる。

熊蟄穴(くま あなにこもる)

12月12日から七十二侯は「熊蟄穴(くま、あなにこもる)」で二十四節気「大雪」の次侯にあたる。

熊が冬眠のため穴にこもる頃という意味。

例年この時季は、シベリアから寒気団が南下し北陸に大雪をもたらす。

今年は寒気団の勢力が今のところ弱く晴れ間が多い。

本格的な降雪は「冬至」に入ってからと予測される。

北陸新幹線が新潟県、富山県の県境のトンネルを抜けて朝日町の平野部に出ると、その眺めに圧倒される。

左手には新雪に輝く北アルプス、右手には能登半島と富山湾の景色が広がる。

3千メートル級の黒部の名座と、富山湾の深海との高低差は4千メートルもある。

新幹線の車窓から眺めるパノラマは、絶景である。