金鳳花(キンポゲ) キンポウゲ科

<日当たりのいいところを好む>

金鳳花(キンポウゲ)は、宇奈月の日当たりのいい平地に生えるキンポウゲ科の多年草です。  花は高さ50cmぐらいの花茎を出し、頂部で分岐して各枝端に1個の黄色の5弁花をつけます。

花弁は、光沢を持ち黄金色に輝くところから和名の由来となっています。
広く群生するので、風が通るたびに黄金色に波打ちます。

葉は根出葉で長い葉柄があり、掌状に深く裂け各裂片は粗い鋸歯状になっていて、キンポウゲ科の植物の特徴が出ています。
キンポウゲ科の植物は、花が美しいので観賞用に栽培されますが、アルカロイドを含む有毒植物が多く含まれとぃますので注意が必要です。

蛙始鳴(かわずはじめてなく)

<新緑の黒部峡谷>

5月5日から二十四節気は「立夏」に入り、暦の上では夏となります。早朝の宇奈月温泉に吹く川風は、少し冷たさを含んでいます。雪を纏った山々と麓の新緑が最も美しい季節となりました。これから柔らかな春の陽射しが少しずつ力強くなり、夏へと向います。

七十二侯は「蛙始鳴(かわずはじめなく)」で、二十四節気「立夏」の初侯にあたります。田圃でカエルが鳴き始める頃という意味です。雪解け水が流れる黒部川の浅瀬からは時折、河鹿の鳴き声が瀬音とともに心地よく伝わるようになりました。初夏の気配です。

河鹿は、清流が流れる石と石の間を住処にしている蛙です。高く澄んだ鳴き声が鹿に似ているところから、河鹿と呼ばれるようになりました。

黒部峡谷鉄道は、黒部の山々の残雪と柔らかな新緑の彩を愛でながら、深く切り立った黒部峡谷に沿って走ります。生命の息吹が感じられる新緑で心身ともに癒され、森羅万象、緑、緑の世界が味わえます。

上溝桜(ウワミズザクラ) バラ科

<甘い香りを漂わす上溝桜>

上溝桜(ウワミズザクラ)は、宇奈月の山野に自生するバラ科の落葉高木です。
高さは10~20mになります。

葉は桜の葉と同様で楕円形で先が細くなり、縁には鋸歯があります。
木肌は桜と全く同じです。開花は5月の初旬、新枝の先の長い花序に小白花を多数つけるので白いブラシのように見えます。
辺り一面に甘い匂いを漂わせ、遠くから見ると雪が積もったように見えます。
早朝ウォークのコースである「やまびこ遊歩道」でも見ることができます。

果実は、初夏の頃に赤くなりやがて黒く熟します。
この実は一種のサクランボで、これを狙って野猿達が集まってきます。
絶好の餌となります。

沢繁縷(サワハコベ) ナデシコ科

<花弁の先端に切れ込みが入る>

繁縷(サワハコベ)は、宇奈月の山地の落葉樹林内に生えるナデシコ科の多年草です。

茎の上部は斜上して分岐し、下部は地を這ってひげ根を出し群落を作ります。
葉に葉柄があり三角状卵型で、先端は鋭形になっています。
花は先端で単生し、白色の5個の花弁は2中裂しています。
カタクリの花が終わると一斉に咲き始めます。

春の七草のハコベは花弁の切れ込みが深く、10個の花弁に見えるので違いがよくわかります。
沢繁縷も樹林内の木々の葉が広がり陽光が弱くなる頃、消えてしまうるスプリング・エフェメラルの仲間です。

浅葱交趾鯉幟筒向付

<雅膳の一品>

 黒部峡谷は川風が心地よく、新緑が美しく映える頃となりました。
旬の一皿は、白魚の酒煮と山菜と生くちこです。
きりっとした地酒は、千代鶴酒造の「恵田」がおすすめです。
有機栽培米からつくられた数量季節限定酒です。

季節のうつわは、端午の節句にちなんで「浅葱交趾鯉幟筒向付」です。
鯉の目玉や鱗は銀彩で加飾され、浅葱交趾の青みを一層引き立ててくれます。

 

坪菫(ツボスミレ) スミレ科

<白い小さな清楚な花は坪菫>

坪菫(ツボスミレ)は、宇奈月の山の木陰に生えるスミレ科の多年草で小型なのであまり目立たない花です。

 地下茎は短く、地上に根出葉と複数の茎をのばし、長さは5cmから20cmで低く、周りの草の陰になります。
葉は、丸く円心形で先が尖り、きれいなハート型になります。

花は地上茎の葉腋からでて、花柄は立ち上がり、葉より少し上に出て花をつけます。
白色の花弁の上弁は反り返り、下弁には基部に向けて深紫の筋が入ります。

姫空木(ヒメウツギ) ユキノシタ科

<小形の空木>

姫空木(ヒメウツギ)は、宇奈月の日当たりのよい岩間や谷川沿いに自生するユキノシタ科の落葉低木です。

高さは1m内外で、枝はよく分岐して弓状に曲がり、若枝は無毛です。
葉は単葉で対生し有柄で長楕円状披針形で、先は尖り細い鋸歯があります。
空木(ウツギ)と比べると下面はほとんど無毛で、質は薄くて滑らかです。
新梢の先に総状花序をつけ、小さな白花を多数開きます。

空木(ウツギ)に似て、小形であるのことが和名の由来となっています。
空木(ウツギ)よりも早く開花します。

春紫菀(ハルジオン) キク科

<日当たりのよい荒れ地に群生している>

春紫菀(ハルジオン)は、宇奈月の道端や空き地等の窒素分の多い場所に群生するキク科の多年草です。
北アメリカ原産の帰化植物で、全国各地で雑草化しています。

茎の高さは30cmから80cmぐらいで、あまり分岐せずに直立しています。
根元には篦型の根出葉があり、花の時期にも残ります。
茎葉の基部は耳状に張り出して茎を抱きます。
頭花は舌状花は白色あるいは淡紅色で、筒状花は黄色で長径2㎝ぐらいです。
蕾の時は、花序全体が下向きです。

よく似たヒメジオンは、茎がより高く茎は空洞になっていません。
蕾は下向きにならないです。

色絵菖蒲絵向附

<春の割鮮>

雪融け水が勢いよく流れ込む晩春の富山湾。割鮮とは、新鮮な造りのことです。
この季節の旬魚は、蛍烏賊、白海老、水蛸、細魚、のど黒、富山海老、バイ、柳ばちめ、平目、キジハタ、鯛など、水揚げされる魚の種類が多くなります。

白身魚のお造りには、延楽特製の刺身ダレ「煎酒」をお試しください。
魚の上質な旨味が、お口の中で驚くほど広がります。
合わせる酒は、皇国晴酒造「幻の瀧 大吟醸」、清都酒造「勝駒 純米吟醸」、千代鶴酒造「千代鶴 純米吟醸」、桝田酒造「満寿泉 大吟醸」、羽根酒造「羽根屋 大吟醸」がお薦めです。

季節のうつわは「色絵菖蒲絵向付」です。
器で季節をめでるのも料理の楽しみの一つです 。

山吹(ヤマブキ) バラ科

<黄金色の山吹は周りを華やかにする>

山吹(ヤマブキ)は、宇奈月谷沿いに群生するバラ科の落葉低木です。
幹は叢生し広がっていきます。

葉は、2列に互生して卵形で二重鋸歯があります。
花弁は黄金色で5個から8個あり平開します。
山吹は、どんな花とも相性がよく、生けやすい花です。

付近には棘のある紅葉苺も自生しています。
どちらもバラ科なので枝や葉がよく似ています。